ビープラウド社長のブログ

株式会社ビープラウドの社長が、日々の思いなどを綴っていきます。

エレベータピッチのつくりかた(匠塾 2017年8月開催まとめ、その1)

2017年8月10日に匠塾*1に参加してきました。

私は「匠Methodでつくったモデルをエレベータピッチで説明するには」というテーマのチーム(通称ヘンタイチーム)に参加しました。

エレベータピッチを使う場面

エレベータピッチは、会社で地位の高い人や投資家にエレベータの中で20〜30秒でプレゼンすることなので、自分にはそのような機会がないと思う人は多いかもしれません。

一方、初対面の会話は、どの人にもあります。

仕事で取引先の人と初めて話す、社内で他部署の人と話す、社外の勉強会の懇親会などです。

そのとき、自分は日頃何に取り組んでいるかを、簡潔に伝えるためにエレベータピッチは効果的です。

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私が匠塾で参加したチームでは、以下のようにエレベータピッチについてまとめました。

エレベータピッチの目的

エレベータピッチの目的は、以下を短時間で達成することです。

  • それいいね!と言ってもらえること
  • もっと話を聞かせてよ」と次の機会につなげること(印象に残ること)

エレベータピッチの構成要素

エレベータピッチは、以下の(1)〜(4)を伝えます。時間があれば(5)を伝えると、納得感、説得力が加わります。

  • (1)私はどうしたい?(ずばりひとことで)
  • (2)私が〜することで
  • (3)その結果、誰が
  • (4)〜のベネフィットを得ます

    • サブベネフィット
    • メインベネフィット
  • (5)実現を裏付ける裏付け・証拠・エビデンス・バックグランド

匠Methodとのマッピング

同じチームだった関満徳さん が下図を書いてくれました。 f:id:haru860:20170813111108p:plain

これをもとに、昨年匠道場*2で実施したワーク(テーマ:もし自分が秋田県知事に立候補するなら)をマッピングしたのが下図です。

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マッピングのポイント

チームでは、以下のようなポイントを検討しました。

(1)私はどうしたい?(ずばりひとことで)

なるべく短い時間でズバッと伝えるためには、キャッチコピーの方が意味が凝縮されているということで、キャッチコピーを使うことにしました。

決めたキャッチコピーを「エレベータピッチで使えるものになっているか?」という視点でチェックしてみることで、洗練させていくことができるでしょう。

※ビジョンは、エレベータピッチのあと、2回目以降にじっくり話す場面で伝えるということになりました。もちろん、ビジョンを使っても簡潔に伝わる場合は、ビジョンを使ってもOKです。

(2)私が〜することで

価値デザインモデルの「コンセプト」を使うことになりました。

コンセプトは「ビジョンを実現するための構想」「ビジョンを実現するための戦略的要素」ということで、行動的な要素が入ってきます。

価値分析モデルの手段=業務要求から選ぶことも可能ですが、具体的すぎる場合が多いので、コンセプトから選ぶのが良いと思われます。

※要求分析ツリー上でコンセプトと、業務要求はつながってきます。業務要求を見つけてからコンセプトに遡っていくのも良いでしょう。業務要求とコンセプトがツリー上でつながらない場合は、コンセプトの見直しが必要です。

(3)その結果、誰が

価値分析モデルに並べたステークホルダーから、もっとも重要なステークホルダーを選びます。

(4)〜のベネフィットを得ます

(3)のステークホルダーが、どのようなベネフィットを得るかを2つ説明します。

# メインベネフィット

最も優先度が高いベネフィット(嬉しいこと)を伝えます。明確さを増すために、具体的な目標や期限を伝えます。ゴール記述書の「何を、いつまでに、どうする」を使うことにしました。

# サブベネフィット

2番目に優先度が高いベネフィットを伝えます。メインベネフィットに相反するベネフィットを上げられるとなお良いでしょう。相反するベネフィットを伝えると「なぜ、そんなことができるの?(詳しく知りたい)」と興味をひくことが出来ます。

相反するベネフィットを考える際には、ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則の「「ORの抑圧」をはねのけ「ANDの才能」を活かす*3」が参考になるでしょう。

書籍では、相反するものとして以下の例があげられています。

  • 変化と安定
  • 慎重と大胆
  • 低コストと高品質
  • 創造的な自主性と徹底した管理
  • 未来への投資と目先の利益
  • 綿密な計画による進歩と臨機応変に模索しながらの進歩

野球などのスポーツでいえば「育てながら勝つ」が該当するでしょう。

一見、矛盾していることを同時に成し遂げることによって、平凡さを抜け出し、印象に残りやすくなります

AなのにB」という発想法は、キャッチーなタイトル・テーマを生み出す時にも有効なので憶えておくと良いでしょう。

  • 中学生なのに、将棋でデビューから30連勝
  • 学年で成績がビリなのに東大に合格
  • 脚が遅いのにエースストライカー
  • 育成選手出身なのに、侍Japan入り
  • 県でトップの進学校なのに甲子園出場
  • FAや移籍で主力選手が抜けていくのに優勝
  • 小さなチーム、大きな仕事

最後にビジョナリー・カンパニーで紹介されている言葉をお伝えしておきます。

一流の知性と言えるかどうかは、二つの相反する考え方を同時に受け入れながら、それぞれの機能を発揮させる能力があるかどうかで判断される

「Andの才能」を伸ばし、価値あるものを世の中に創り出しましょう。

# メリットとベネフィットの違い

メリットとベネフィットの違いは、よく言われていることなので、簡単に書いておきます。

  • メリット:ウリ・特徴
  • ベネフィット:「メリット」によりもたらされる嬉しいこと(体験・変化)

ベネフィットが正確に伝わっているか?」「メリットではなく、ベネフィットを伝えているか?」という視点でエレベータピッチをチェックしてみるとよいでしょう。

(5)実現を裏付ける裏付け・証拠・エビデンス・バックグランド

エレベータピッチを20秒〜30秒で伝えたあとに、さらに時間の余裕があれば、なぜエレベータピッチで説明したことが実現できるのかを説明します。

これにより「なるほど」と思わせ、エレベータピッチの言葉に信頼性をもたせる効果があります。

具体的には、以下のような内容です。

  • 今までの実績(導入実績、顧客数、事例となる顧客など)
  • 経歴
  • 実験、検証の結果
  • 実現するためのリソース(方法論・メソッド、営業力、技術力など)

最後に:自分のエレベータピッチを用意しておこう

冒頭でもお伝えしたように、自分のキャリア、仕事、事業について、初対面のひとに説明する場面は、意外と多くあります。

そのような場面で、簡潔に効果的に話せるように、匠Methodで、自分のキャリア、仕事、事業についてモデルをつくり、自分のエレベータピッチを用意しておくのはいかがでしょうか。

初対面で話した相手の印象に残り、予想もしなかった展開が待っているかもしれません。

匠塾について

匠塾は招待制の勉強会です。匠メソッドに興味があり、匠塾に参加してみたい人は、にFBメッセージでお声がけください。

「ORの抑圧、Andの才能」について書かれた書籍はこちら

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

匠Methodについて書かれた書籍はこちら

匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜

匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜

*1:毎月開催されている招待制の匠メソッドを学ぶ会です。株式会社アクティアCOO 高崎健太郎さんを塾長とする有志によって開催されています

*2:匠メソッドのライセンスを購入している企業の社員のみが参加できる月1回開催されている匠メソッドの勉強会

*3:「ORの抑圧」とは逆説的な考え方は簡単に受け入れず、一見矛盾する考え方は同時に追求できないとする理性的な見方。「ANDの才能」とは、さまざまな側面の両極にあるものを同時に追求する能力。AかBのどちらかを選ぶのではなく、AとBの両方を手に入れる方法を見つけ出す見方。