ビープラウド社長のブログ

株式会社ビープラウドの社長が、日々の思いなどを綴っていきます。

匠塾(2017年7月) 開催まとめ〜価値デザインモデル:「コンセプト」の性質について

2017年7月13日(木)に匠塾*1に参加してきました。

価値デザインモデルの「コンセプト」について

私は、匠メソッドの知見・暗黙知をまとめて形式知にするチーム(通称ヘンタイチーム)に参加しました。

テーマは、価値デザインモデルの「コンセプト」についてでした。

コンセプトに関する話題の中でも、私が匠道場6月のまとめで不明点としてあげていた「コンセプトの性質:戦略ベースのコンセプト、コンセプトベースのコンセプト」が話の中心になりました。

プロジェクトデザインのスコープ

匠メソッドのセッションで、どこまでを議論のスコープとするかという話から始まりました。

  • 匠メソッドのモデリング対象は、プロジェクトデザインである
  • 会社-事業-製品-機能(サブシステム)という階層がある場合、匠メソッドでモデリングするプロジェクトは以下の3つに分類できる

    • 企業デザインプロジェクト(会社-事業)
    • 事業デザインプロジェクト(事業-製品)
    • 製品デザインプロジェクト(製品-機能)
  • 企業デザインプロジェクトで、製品や製品の機能までを対象とするのは、スコープを広げすぎ

  • 事業デザインプロジェクトで、製品の機能までを対象とするのは、スコープを広げすぎ
  • 事業デザインプロジェクト、プロダクトデザインプロジェクトで、企業ビジョンは脇において意識はしておく

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Howの手探りによる実現性の検証

  • 企業デザインプロジェクト、事業デザインプロジェクトで、製品の実現可能性を考慮せずに、モデルをつくっても、現実性の無いモデルになってしまうおそれがある。
  • その場合、Howの手探りをすることにより、実現可能性を検討することにより、現実性を考慮した検討をすることができる

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Howの手探りをどのようにするか(例)

匠道場で、私が入ったチームの課題で、R&D要素が強いプロジェクトをテーマにしていました。

そのとき、価値デザインモデル、価値分析モデル、要求分析ツリーまでつくったところで、以下の図のように画面、処理、データの入出力の関係を検討しました。

それにより、実装(How)について、どのようなデータが必要なのか、どのような技術を使うのか、どのような研究が必要なのか、既にどのような技術があるのか、その技術はどの段階まで進んでいるのかなどというところまで話ができて、プロジェクト実現に向けて具体的なイメージをチームで持つことができました。

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コンセプトの性質

戦略ベース
  • それぞれのプロジェクトのスコープに収まる、ビジョン、コンセプト、目的を導き出す
  • 匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜に記載されている戦略ベースの説明(「第7章 匠Methodで商店街の風呂屋を復活させる」)

    • プロジェクトで最も重要なことを3つ挙げようといったトップダウン的発想。
    • 業務改革や作業改善などプロジェクトのコンセプトを考える時に活用されるアプローチ

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コンセプトベース
  • コンセプトベースについては結論は出ないが以下のような話をしました

    • プロダクトデザインプロジェクトで、会社ビジョンをプロジェクトのビジョンとした場合に、製品のコンセプトが戦略要求の一部分(目的レベルの下)、もしくは業務要求になるのではないか
    • さらに抽象的なコンセプト見出すなど、コンセプトの見直しにより、戦略ベースと同じツリー階層に最終的には落ち着くのかもしれない
  • 匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜に記載されているコンセプトベースの説明(「第7章 匠Methodで商店街の風呂屋を復活させる」)

    • プロジェクトにとって非常に重要なアイデアにスポットを当てて、ボトムアップ的にコンセプトを導き出す
    • 製品企画や特徴のあるサービス(ビジネスモデル)の企画のコンセプトを考えるときに活用されるアプローチ
    • 導き出されたコンセプトは、戦略要求の一部分、あるいは下位の業務要求といったように局所的に位置づけられる

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IIBAのGUTSY-4における4つのモデルとフェーズ

プロジェクトのスコープの考え方は、IIBAのGUTSY-4における4つのモデルとフェーズに似ているものがあるのではないかという話も出ました。

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各チームの発表を聞いて参考になった話

  • 匠メソッドの進め方はブレーンストーミングに近いが、普通のブレーンストーミングはどこまでも議論を深めてしまいがち。匠メソッドはフレームがあるので、アイデアを出しつつも行きすぎにならないのが議論しやすくて良い
  • (テーマ:ファミタクチーム)店舗を始めるのに、従業員を多く雇う、待遇を良くするなどというところから行動を始めるように考えてしまったが、それだと事業が成り立たないということに途中で気づいた。事業をまず成り立たせるというところから始めるようにしてから、アイデアに現実性が出てきた
  • (テーマ:納涼大会)「上下関係の壁を壊す」「ダンス」「Beat the summer」というアイデアが生まれてから、話がスムーズに進むようになった

    • (コメント)匠メソッドのセッションの序盤では、アイデアが出ない、アイデアは出るが、腹落ちしないというすっきりしない時間帯があります。「上下関係の壁を壊す」「ダンス」「Beat the summer」などの「キーアイデア」とも呼べる、チームメンバーの話の呼び水となるアイデアが出るまで、どのようにファシリテートしていくか。セッション序盤におけるファシリテーターの重要スキルの1つでしょう。
  • (質問)匠メソッドのチームは何人ぐらいが良いのか? → A. 多くても8人くらいが良いでしょう

    • (コメント)こたつモデルを形成するために、誰を呼ぶのかという視点が大事。その上で適切な人数を考える

まとめ

約1時間半のワーク時間で、良さそうなアイデアが各チームでかたちになるので、匠メソッドを使うスピードが上がってきているのを感じます。

私自身は、匠メソッドについて考えていること、今までの経験や疑問点などをお互いに話しているうちに、頭の中がまとまったり、新たな知見を得たりと、2時間の時間以上に収獲が大きいです(感謝)。

匠塾によって匠メソッドを経験したことがある人の輪が広がってきています。さらに皆で楽しみながら学んでいきたいです。

匠メソッドに興味があり、匠塾に参加してみたい人は、にFBメッセージでお声がけください。

匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜

匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜

*1:毎月開催されている招待制の匠メソッドを学ぶ会です。株式会社アクティアCOO 高崎健太郎さんを塾長とする有志によって開催されています