第2部は、匠Methodのコンサルティング事例です。
前半の導入部は匠ビジネスプレイス萩本さん、中盤からは東洋ビジネスエンジニアリング入交さんのお話でした。
匠Methodによるプロダクトデザイン
登壇者
匠ビジネスプレイス 萩本順三 氏
匠Methodの特徴・効果
- 6つのシンプルなモデル
- モデルが心をどう刺激するかを考える
- 動機力をUPするためのモデルである
- 価値は感じるもの(論理的なものではない)
- 匠Methodのビジョン:みんなの嬉しいを創り出す
嬉しいを演出しないとステークホルダーがビジネスモデルに参加してくれない
- 価値のバランスが大事
プロジェクトの目的は自分たちの下心
- 価値を考えているうちに、やってるうちに目が輝いてくる。他の会社のことまで考えているので
新製品企画での活用事例
登壇者
- 東洋ビジネスエンジニアリング 入交俊行氏
匠Method導入の経緯
- XXX(製品名)を超える次世代mcFrame(自社のERPパッケージ)を4人で作れという経営陣からの指示
- プロジェクトのコードネームは「Chariot」
- 新技術検証とモック作成、競合製品調査、社内インタビューを続ける日々
- イベントで、セカンドファクトリーのブースに行った時に萩本さんを紹介された
- 方法論大嫌いだが、匠Methodをやってみた
匠Methodの以下の点が良さそうと思った
- 点在知識(ノウハウ)をつなげる
- 思考のトレーサビリティが取れる
- 短サイクルでPDCAサイクルが回せる
匠Method史上最悪の生徒
立ちはだかった高い壁(その1)
- 現意識が中心でなかなか新意識が出てこない
今までできなかったことを実現したい(=ERPで実現したいこと)との思いの強さがギャップの原因
萩本さんのFacebook「ビジネス慣習という呪いは、なかなか解けないと痛感したセッション」
- まずは未来の製造業の姿を描くことに変更→良い方向に向かい始めた
立ちはだかった高い壁(その2)
- ポエマー不在、デザイナー不在(理系集団の悲哀)
価値デザインモデルで要素は出るが、言葉としてまとまらず、いつまで経っても言葉が空白
プロジェクトのコードネーム「Chariot」にIoTが入っている→ERPから脱出し、IoTをやろうという新意識になれた
立ちはだかった高い壁(その3)
制御不能となった要求分析ツリーの作成作業
- 作成過程で次々と噴出したやりたいこと
- 出来は悪いがメンバーの思いが詰まった要求分析ツリー。いつかきっと役に立つはずと残した
経営陣への企画プレゼン
- ビジョン:全世界のマーケットニーズに即応するための変革を支援する
- マイクロサービス型ERP+IoT&BigData
2020年に向けての目標
20以上のサービスを提供する
- 世界20か国以上で利用
- カテゴリトップ製品(サービス)を創出
→ 一発OK!
製品リリースと成果
- 6か月という短期間でリリース(IoTプラットフォームはSORACOMを使用)
- IoTコンテストの審査委員一押しツールに選定→会社の株価大幅上昇
- リリース後1年で6か国に導入
- 明日からできる簡単IoT(2時間で導入できる)で顧客に喜ばれた
- 社内表彰でNo.1獲得
匠Methodを導入した効果
モデルをもとにした明確な判断基準を持てた
- 外部の声をシャットアウト
顧客中心のアプローチができるようになった
- 共通言語が「お客さんのために」や「顧客の価値」になった
市場ニーズの変化に対応しやすくなった
- 要求分析ツリーの中のここをやろう、こことここがつながるというトレースができるようになった
巨大な要求分析ツリーをつくったが、メンバー共通の知識ベースができた
匠Methodに望むこと
匠Methodブートキャンプ
- リーダークラスが揃うと俺のやり方を通そうとする
- 匠Methodの型にはめてほしい
ポエマー養成講座、デザイナー養成講座
- エレベータートーク:30秒でシンプルに説明し伝わるように表現する
- 理系は30秒でとなると、内容を変えずに倍速で話そうとする(NG)
- 的確な言葉でシンプルな言葉づくりができるように
数値目標アプローチ
- 匠MethodのValue Metrics に取り組んでいる委員会があって進めている(萩本さん)
感想
萩本さんのセッションの「匠Methodのビジョンは、みんなの嬉しいを創り出す」という言葉は、記憶に残りました。匠Methodを使ったファシリテートの場面で「みんなの嬉しいを創り出すのが匠Methodなんです。他の人にも共感して、その人の嬉しいことを考えてください」というように使えそうな言葉です。
東洋ビジネスエンジニアリング 入交さんのセッションでは、いままでの思考慣習からなかなか抜け出せない理系チームが、ふとしたきっかけから新意識になり、糸口をつかみ、突破口を開き、新規サービスを成功させるストーリーに引き込まれました。
入交さんの話からは、萩本さんを信じて、忍耐強く考える、自分たちなりにやってみるという、やり抜く力=GRIT(グリット)が伝わってきました。
プロジェクトでは、直線的に成功するということはなく、不安に包まれたり、ものごとがうまくいかない瞬間は必ず訪れます。
そのようなマイナスの局面でうまく行くと信じ、忍耐強く粘れるか、平常通りに行動できるか、それがプロジェクトが成功するか、しないかを分ける分岐点であるといえるでしょう。
匠Methodのモデルは、そのような場面で羅針盤の役割を果たし、モデルに立ち返ることで自分たちを見失うのを防いでくれるでしょう。
プロジェクトを成功させるために大事なことと、プロジェクトにおいて匠Methodのモデルが果たす役割を再認識できたセッションでした。
匠Methodの書籍はこちら
匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜
- 作者: 萩本順三
- 出版社/メーカー: 匠BusinessPlace出版
- 発売日: 2016/12/24
- メディア: Kindle版
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