第1部は、匠Methodによるイノベーション事例です。
食を通じた新たな価値創造・地方活性化へ向けて
登壇者
- 株式会社セカンドファクトリー 代表取締役 CEO & CVO
- ブエナピンタ株式会社 代表取締役CEO & CVO
- 大関 興治(KOJI OZEKI)氏
テーマ
- IoTプラットフォームによる、生産サイドと消費サイドをつないだビジネスイノベーションの成功事例
- QOOPa Premium Market、THE NARUTO BASE、地産地食レストラン「FARM to TABLE」
ビジネスモデル
- 生産サイド(農業、畜産業、水産業、加工業者)には、加工・商品開発の提案・コンサルティング
- 消費サイド(飲食店、フードコード、ホテル&リゾート、加工業者)商品開発の提案・コンサルティング
- 幅広い共創プラットフォーム:Stock(デポ)、Kitchen(加工)、Store(販売)、小ロット契約農地
会社、サービス立ち上げ
- もともと情熱ブルドーザーと言われるほど感性で走る会社だった。それに論理的に可視化される匠Methodを導入
- セカンドファクトリーというIT企業で地方に行っても「IT企業が何しに来た」と思われるだけなので、新たにブエナピンタという会社をつくった
- ブエナピンタの立ち上げ企画も匠Methodで。クイックに立ち上がった
- SI風に進めていたら、やってたら2年位かかるところを、匠Methodを活用し、半年でカットオーバー
匠Method導入以前で起きた問題
- QOOPa(クーパ)を開発・リリース
- 飲食業の人にヒアリング→要件定義→開発→賞も取れた→顧客も増えた→行けるのではと思った
- イノベーションを起こしたはずなのに、収益化できない!
同じジャンルに多くの製品がある→営業力で勝つしかなくなる→別の差別化が必要
IT視点でイノベーションを起こそうとしたが結果に結びつかない。
レストランオーナー・そして徳島へ
海の家やレストランオーナーをやってわかったこと
- 従事者の減少
- 食材の入手の難しさ
- オペレーションコストの増加
ITだけでは片付けられない課題が結構ある→徳島へ
徳島に行ってわかったこと
- 生産物が余ってる
ICT/IoTを活かせば、解決を同時進行できるのでは
- ものが売れない
- 規格外品をどうしたらいいかわからない
- せっかく作ったものを廃棄しなければならない
- なにを作ったら売れるのかがわからない
- 加齢で体がしんどい
- 後継者がいない
農家の立場・レストランの立場になってCX(カスタマーエクスペリエンス)駆動で考えてみる→匠Methodで企画
FARM TO TABLEで解決すること
- 産地直送ビジネスモデルだけでは難しい課題を解決する
- 中小外食からみた場合:シェアードのセントラルキッチン
- 中小生産者から見たトライアル六次産業化施設
生産地と消費を結びつけるモデル
(1)首都圏+食材産地直送モデル
- 賃金が高くなる
- 大きな物流拠点が必要になる
(2)首都圏+食材産地即加工モデル
- 調理スキル依存型経営から脱却できる可能性
- 食材費を下げて、賃金を上げることが出来る
産地の加工は以下の4つで請ける
- 素材加工
- 複数素材加工
- 指定調味加工
- 完全加工
(3)食材産地即加工++ モデル(鳴門方式)
- 農家の収益拡大(おいしいのに捨てているものを使う)
- スープストックのような経営スタイル(調理師が店にいない)を中小外食で採用可能
- ITと加工技術の組み合わせで極小キッチンで高品質なメニュー展開も可能に
- 都心で、シェフがいらない。冷凍の技術の発展のため
生産技術/ ICT・IOT/ 加工技術/冷凍技術/物流のフル活用
生まれた価値
- 生産物で捨てるものがなくなった
- 地元に雇用が生まれた
- 美味しくなった
同じモデルを鳴門以外の地域にも横展開できる
こたつモデルの効果
匠Method導入以前
- システム屋としての視点☓飲食店の視点☓生産者としての視点
- それぞれの視点・気持ちは大事だが、それぞれが分断されていた
匠Method導入以後
- システム屋、飲食店、生産者がひとつのチームになり、利害一致ポイントを抽出
- チーミングとファシリーテートで想いが共有された
匠Methodによって生まれた現意識と新意識
IoTによる農地管理
- 現意識:栽培管理のため
- 新意識:マーケットにトレーサビリティデータとして提供
循環農業
- 現意識:堆肥を生産に活かす
- 新意識:マーケットが欲しがっているオーガニック堆肥使用の新ブランド野菜をつくる
スマホの使用
- 現意識:生産者用の専用アプリを自ら開発→使ってもらえなかった
- 新意識:LINE(チャットボット)をインターフェースにした→70%使ってもらえるようになった
匠Method導入によってできたこと
技術起点イノベーション(当初のQOOPa)を、ユーザー起点イノベーション(QOOPa Premium Market、THE NARUTO BASE、FARM to TABLE)に変えることができた
コメント
技術を元にしたソリューション提供(当初のQOOPa)は、技術起点のアプローチ(=Howからの突き上げ)であり問題ではない。ソリューションのアイデアを顧客・ステークホルダー視点から検証していないことが問題であった。
まとめ
- 匠Method導入のタイミングは早ければ早いほどよい
- 導入のキーマンを明確にし、本気で巻き込むチームビルディング
匠Methodを難しく捉えない
- ビジネスメソッドであって論語のようなものである
大事なのはみんなで匠脳になること
- 日頃の生活の中で自然に意識できるように
農家もITも関係ない。つくりたいのは笑顔。笑顔なき価値創造なんてありえない
- コンセプトの共有に時間をかけろ
- Break The bias
- 成果を出したければ「想いを紡げ!」
感想
システム屋視点のソリューションが行き詰まったところから、匠Methodを活用して、農業生産者、飲食業の幅広い視点を獲得して、周りを巻き込みながら、ソリューションを広げていくところに、ビジネスのストーリーを感じました。
「嬉しい」かどうかを感じるだけでなく、その解決策は、ステークホルダーが笑顔になるのか、満面の笑みなのかをイメージしてみると、さらに共感力が増し、その後の巻き込み力が増していくのだと学ぶことが出来ました。
巻き込み力をつけていきたい私には、とても参考になる事例でした。
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匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜
- 作者: 萩本順三
- 出版社/メーカー: 匠BusinessPlace出版
- 発売日: 2016/12/24
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