※この記事は BeProud Advent Calendar 2018 10日目の記事です。
ビープラウドの仕事は、Webからの問い合わせや人からの紹介で引き合いが来ます。
引き合いがきたときはほとんどの場合、お客様候補(以下お客様)とまず打ち合わせをします。
初めてのお客様と話すときは不安が大きいものです。
うまく話が進まなかったら・・・間が持たなかったら・・・話が理解できなかったら・・・
私はビープラウドを始めてから、引き合いがあった時の最初のミーティング(以下「引き合いミーティング」)を数多く経験してきました。
その経験から引き合いミーティングに役立つ考えかた(フレームワーク)や、進め方のコツについて書きたいと思います。
As-Is-ToBe
私が引き合いミーティングで、常に頭に置くのは「AsIs/ToBe」という考えかたです。
AsIsとは現状、ToBeとは未来のあるべき理想の姿という意味です。
そして、ToBeとAsIsの差分(ギャップ)が現状の問題です。
その問題を「Action(行動)」によって解決しToBeの状態にしていきます。
これらの関係をミーティングの地図として頭におきながらお客様と話を進めます。
AsIs/ToBeを明らかにするには6W2Hで話をする
引き合いミーティングではお客様とAsIsとToBeを明らかにしながら、認識を合わせていきます。
AsIsとToBeを明らかにするにはどうしたらよいでしょうか。
私は「6W2H」という考えかたを使います。
6W2Hとは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、Whom(誰に)、Why(なぜ)、What(何を)、How(どのように)、How much(いくら)のことです。
お客さんに6W2Hを中心に質問したりしながら、AsIsとToBeを明らかにしていきます。
AsIsの場合、以下のような質問になります。
- When(いつ):いつから始めているのか、いつから企画しているのか
- Where(どこで):どこで企画があがっているのか(部署なのか、会社全体か)、どこのサイトなのか
- Who(誰が):誰が困っているのか、お客さんなのか、さらにそのお客さんなのか。どのような体制なのか。
- Whom(誰に):誰にサービスを提供しようとしているのか
- Why(なぜ):なぜ困っているのか。なぜそのような状況になったか
- What(何を):何を今しているのか、対象は何のシステムなのか
- How(どのように):どのように今まで進めてきているのか(プロセス)
- How much(いくら):どれくらい今まで進めたのか
ToBeの場合、以下のような質問になります。
- When(いつ):いつまでに実現したいのか
- Where(どこで):どこの会社か、どのサイトか
- Who(誰が):誰が提供するのか
- Whom(誰に):誰に価値を提供したいのか、ユーザーは誰か
- Why(なぜ):なぜToBeの状態を実現したいのか
- What(何を):何を実現したいのか、何をつくるのか
- How(どのように):どのように進めるつもりなのか
- How much(いくら):予算はどれくらいか
ここでは、お客さん8割、自社2割くらいの話す配分を目安にします。
8個(6W+2H)も聞くことがあれば、聞き上手にならなければと力まなくても自然にそのような配分になります。
そして、これだけ聞くことがあれば、間が持たないということもなくなります。
引き合いミーティングでは、お客さんに良さそうだと思ってもらうために、鋭い質問をしなければという強迫観念もあったりしますが、When(いつ?)やHow much?(どれくらい)は、誰でもできる簡単な質問です。
質問していくうちに、自然と良い質問ができることでしょう。
話の進め方
ミーティングは「(1)AsIs→(2)ToBe→(3)問題点の簡単な把握→(4)今後のToDoの確認」の順番で進めます。
AsIsとToBeをどちらから始めるかという話もありますが、私はAsIsを把握するところから始めます。
なぜなら、ToBeはお客さんの方でも見えてないことが多いからです(問題点はわかっているがどのようにしたら良いかわからない、専門家の力を借りたいというケース)。
AsIsから始めるかToBeから始めるかということについては、それぞれメリット・デメリットがありますが、興味がある方は以下のサイトを参考にしてください。
要求開発超入門 / Vol.11 AsIsとToBeとは | リコーITソリューションズ株式会社
自社の紹介
自社の事業紹介や強みをミーティングの最初でしなくてよいのかと思うかもしれませんが、AsIs-ToBeの話が終わるまでは必要ありません。
自社の話は、Actionを考えるために必要な情報・インプットだからです。
お客さんからミーティングの冒頭で求められても、Actionについて話す時に説明するように話を仕向けます。
問題点の簡単な把握
AsIsとToBeを把握したら、次はその差分である問題点を簡単に把握します。
問題点は、たとえば以下のようなものです。
- ぼんやりとやりたいことはあるが、企画できない
- 企画はあるが、仕様は決まっていない
- 実現したい世界をお客さんだけでは実現できない
- スキルが不足している
- 適任がいない
- 時間が足りない
複雑なプロジェクトや大規模なプロジェクトでは、引き合いミーティングだけでは問題点の把握は難しいので簡単に把握するに留めます。
Actionを決める
今後お互いがどのような関わり方ができるのかを考えるために、次のステップ、今後のToDoを決めます。
大抵の場合、以下のようなToDoが生まれます。
自社
- どのように自社が関われるか提案
- (関わり方が決まったのであれば) 見積書提出
お客様
- 話し合いの結果、あいまいだと分かったことを社内で再度まとめ
- 協力関係を進めるための検討に必要な資料の提示
契約
- NDA締結(雛形のやり取り、締結)
ここでは、誰が何をどのような順番で進めるのか(ToDoの前後性)を、はっきりさせておくことが重要です。
ここをあいまいにすると、その後もあいまいになり、話はたち消えになります。
ビジネスフレームワーク
AsIs-ToBe、6W2Hを「考えかた」と上記で書きましたが、これらは一般的に「ビジネスフレームワーク」と呼ばれます。
以下の書籍ではビジネスフレームワークを70個紹介しています。
ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70
- 作者: 株式会社アンド
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2018/08/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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AsIs-ToBe、6W2Hも、70個のうちの1,2番目(「問題・課題を発見する」の章)に紹介されているので、ビジネスフレームワークの中で最も基本的なものといえるでしょう。
他にも「ロジックツリー」「緊急度/重要度マトリクス」「PEST分析」「SWOT分析」「動機づけ・衛生理論」等々、ミーティングに使えそうなビジネスフレームワークが掲載されているので興味がある人は読んでみてください。
ビジネスフレームワークを使うメリット
ビジネスフレームワークを使うと以下のようなメリットがあります。
ミーティングの場を俯瞰でき、心に余裕ができる
ミーティングではさまざまな話が飛び交います。
ビジネスフレームワークが頭にあれば、そのような場合も混乱しません。
話題をビジネスフレームワークにマッピングすることで、ミーティングの場を俯瞰でき、落ち着いて話すことができます。
ミーティングの場を整理し、ファシリテートできる
ビジネスフレームワークは、ミーティングでの話題を整理・分類・マッピングすることで、見える化できます。
見える化によって、ミーティングの参加者も話の全体が見えるようになるので、さらに議論を活性化できます。
ミーティングでは口頭だけで話していると、しばしば空中戦になり、時間を消費し参加者は消耗していきます。
そのような時おもむろに立ち上がり、ビジネスフレームワークを使って皆の議論をホワイトボードにまとめれば、ミーティングを生産的な場に変えられるでしょう。
まとめ
仕事の引き合いが来た時の最初のミーティングでの進め方や、そのベースになるビジネスフレームワークについて説明しました。
仕事の価値は立場の違う複数のステークホルダーで共創していくものです。
そのため価値創造はミーティングなどの話し合いからスタートします。
価値創造のために、プロジェクトを効果的に推進したいという方は、ビジネスフレームワークを学んでみてはいかがでしょうか。