6月22日(木)に、匠道場*1 に参加してきました。
有益な話も出ましたので、後で振り返れるよう、まとめておきます。
- 時間順ではなく、内容別にまとめています。
- 赤字は新たに得た知見です
匠メソッドは、connpass、PyQの企画や、お客様の開発の最初のフェーズなど、さまざまな場面で実践活用させてもらっています。
匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜
- 作者: 萩本順三
- 出版社/メーカー: 匠BusinessPlace出版
- 発売日: 2016/12/24
- メディア: Kindle版
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全体構成
前半
- 「匠メソッドを仕事で有効に活用するために、匠メソッドを極める」 匠メソッド開発者の萩本順三さん(道場師範)
※近いテーマで開催された匠塾の以下の講演資料が7/16に公開されました。
後半
- 萩本師範、師範代(ISR山崎さん、匠BP篠原さん、NTTコムウェア濱井さん、ビープラウド佐藤)を交えての質問・回答
匠メソッド概要
匠メソッドは6種類の主要なモデルで構成されている
- 価値分析デザインモデル
- 価値デザインモデル
- 要求分析ツリー
- ビジネスコンテストフロー(AsIs)
- ビジネスコンテストフロー(ToBe)
- ゴール記述モデル
価値分析モデル、価値デザインモデル、要求分析ツリーがシームレスで、行き来できるのが大きな特徴
価値→戦略→活動と落とし込むという考え方が、他にはない特徴的な考え方
- 人はやりたいこと、やるべきことから考える。匠メソッドは価値から考える
- やりたいことを踏まえた上で価値から考える
- なぜ価値から考えるようにしたか? → 頭を慣習から解き放つため
論理思考(要求分析ツリー)で考えたものを感性(価値デザインモデル、価値分析モデル)で叩け
- 最終的には、頭のなかで論理と感性を行ったり来たりできるようになる
- 感性で叩くためには「嬉しい」という感情に立ち返る。ステークホルダーに共感する。その人にとって嬉しいかどうか想像力が問われる
メモ:「感性で叩く」には、実行しようとしていることが、自分達がワクワクすることか?という問いかけも必要。
価値分析モデル
- ステークホルダーを巻き込むストーリーを記述する
- 価値→目的、目的→価値 と洗練させる
シチェーション+手段+嬉しい言葉で、価値を記述する
Q.なぜ、価値の記述をストーリー的に表現するのか?
→ A. 人が価値をイメージしやすいのはストーリーだから
Q.なぜ価値記述の中に手段を入れるのか?
→ A. 企画内容の検証のため
Q.価値記述に具体的な手段を入れるのは、手段志向にいきなり走ってしまうことになるのでは
→ A.手段のアイデアは、仮置きしておけばよい。分かっているものは先に出せ(出ないより良い)
- 価値記述は手段を書き、手段を抽象化して目的にする
- 逆に抽象的過ぎる業務要求は、要素分解して複数の業務要求を抽出する
- 業務要求の変更にしたがい、価値記述も変更する
目的と手段を行ったり来たりして、洗練させる(※萩本さんの資料が図になっていてわかりやすい)
- 価値の具体的イメージ化のためのHowの手探り(価値、目的、手段)
- そもそも何が目的か?という本質面での抽象化(手段→目的)
- 本質から見た際の具体的手段の再検討と手段要素の分解(価値、目的→手段)
価値デザインモデル
- ビジョン=実現すべき未来の姿
- コンセプト=ビジョンに近づくために重要とする3つの構想(大目標)
- 内向けの価値デザインモデル(業務改善、プロダクト開発など)、外向けの価値デザインモデル(営業・販売)
- 内向けの価値デザインモデル:コンセプトの2つは組織の外向け、1つは組織の内向け
コンセプトの3つのうち2つを組織の外向けにするのは、社員に外を意識させるため
意味
- 「説明」と言い換えても良い
- プロダクトや、プロジェクト全体を説明する
- 各コンセプトの説明のために使っても良い。例えば、「はやい」「やすい」「うまい」というコンセプトの場合、「はやいとは〜」「やすいとは〜」「うまいとは〜」というように説明文を書く
コンセプトの性質:戦略ベースのコンセプト、コンセプトベースのコンセプト
- ※このあたり、私はまだ理解ができていません
「第7章 匠Methodで商店街の風呂屋を復活させる」「要求分析ツリーのたたき台をつくる」(kindle:1461/2274)に説明がある(以下の戦略ベースとコンセプトベースの説明は匠メソッドの書籍からの引用)
戦略ベース
- プロジェクトで最も重要なことを3つ挙げようといったトップダウン的発想。
- 業務改革や作業改善などプロジェクトのコンセプトを考える時に活用されるアプローチ
コンセプトベース
- プロジェクトにとって非常に重要なアイデアにスポットを当てて、ボトムアップ的にコンセプトを導き出す。
- 製品企画や特徴のあるサービス(ビジネスモデル)の企画のコンセプトを考えるときに活用されるアプローチ
- 導き出されたコンセプトは、戦略要求の一部分、あるいは下位の業務要求といったように局所的に位置づけられる
ストーリー
- ビジョンを実現していくストーリーを書く
Q.先にロードマップを決めてしまうことになってしまわないか。戦略が決まってからストーリーを決める方が良いのでは
→ A.それでも良い。仮にでも置いておいて、あとで戻ってくる。行ったり来たりすることによって洗練させる
ストーリーは柔軟に使える。価値が実現するシーンをストーリーとして書いても良い
要求分析ツリー
思考のレイヤリング
- 思考のレイヤリングができると、企画力が高まり、議論がスピーディーになる
「結果」を達成するための「施策」を戦略要求の目的レベルに書く(結果を書くのではない)
- 「売上向上」は結果なのでNG
- 「若手層の売上向上」はOK(かもしれない。プロジェクトによる)
手段から目的を抽出する、業務要求の抽出ステップ(※萩本さんの資料が図になっていてわかりやすい)
- 1.具体的な手段を考える
- 2.手段を目的として抽象化
- 3.目的と手段がつながらないとき、手段を抽象化して業務要求をつくりだす
- 4.新たな手段が生まれる
例:会員にメールを送りたい(具体的な手段)→会員とのコミュニケーション活性化(目的)→会員に連絡したい(手段の抽象化)→会員にアプリでPUSH通知(新たな手段)
プロジェクトライフサイクル
- プロジェクトが進むごとに、価値が変化し、コンセプトが進化する(ビジョンは変わらない)
- プロジェクトでは、ゴール/リソース/スコープ のバランスを重視
最後に〜匠メソッドを学ぶことによって得たスキル
ビジネスや仕事で、時間は最も貴重な資源です。
ミーティングが長い、話が長い、話がまとまらない会社やチームは、アクションする時間が徐々に削られて、成果を出しにくくなります。
私は匠メソッドを学び始めてから、仕事の話をまとめるのが早くなったと感じています。
仕事上の会話で「思考のレイヤリング」を常に意識しながら話をしているためです。
思考のレイヤリングによって、価値の話をしているのか、ビジョンの話をしているのか、目的の話をしているのか、業務の話をしているのか、手段の話をしているのか、計画の話をしているのかを、瞬時に整理ができるようになったのです。
それにより、話が逸れた場合は戻すことができたり、各レイヤーで検討が不足していることがあれば、そこを集中的に話すということによって、ビジネスの話を全体を漏れなく、スピーディーにまとめられるようになりました。
「思考のレイヤリング」は匠メソッドを学んだことによって得たスキルの一例にすぎません。匠メソッドを学ぶことによって、他にもさまざまなスキルや視点を身につけることができます(いずれまとめたいと思います)。
仕事のスキルをさらに伸ばしたい方は、匠メソッドを学ぶと良いでしょう。
匠の夏祭り
匠の夏祭りという匠メソッドをテーマにしたイベントが開催されます。
匠メソッドを活用し、成果を出している方々の発表がメインテーマです。(※私は2015年、2016年と登壇させていただきましたが、今年は参加のみでお休みです)
弊社の西川もパネルディスカッションに登壇させていただきます。
匠メソッドに興味がある方は、参加されてみてはいかがでしょうか。