ビープラウド社長のブログ

株式会社ビープラウドの社長が、日々の思いなどを綴っていきます。

原JAPANへの不安

ふたたび、WBCの原JAPANについての話になるが、WBCで選手達が原監督についていくかという面で若干の不安がある。

中日の落合監督が2001年に著した「コーチング」という本がある。この中に、選手の指導者に対する意識の変化について、以下のような記述がある。

これは、現役時代の終盤頃から感じていたのだが、選手の気質が今と昔では、全く違っている。教える側の実績が重視されるようになったのだ。その指導者が選手時代にどれくらいの数字(成績)を残したのか、また指導者としてどれほどの手腕を持っているのか、教えられる側が強く意識している。つまり、選手時代にある程度の数字を残した指導者の教えは、そうでない指導者よりも正しいと思われる。教える立場にとっては、ものすごくやりづらい時代になった。

もし、これが的を得ているとしたら、原監督の現役時代の成績はどうであったろうか。原監督の現役時代の通算成績を調べてみた。

打率.279、1675安打、382本塁打、1093打点

巨人の4番打者としては、平凡な通算成績に終わっている。

それに対して、王監督の通算成績は、現役の選手の誰もが息を飲む数字であろう。
打率.301、2786安打、868本塁打(世界一)、2170打点

思えば、北京五輪代表星野監督の現役での成績も平凡であった。
通算成績:146勝121敗34セーブ

代表に集まるのは、プライドの高い一流選手ばかりである。

ましてや、今の選手たちが、監督という権威に対してではなく、実績に対してより権威を感じる気質であるというのであれば、原監督の実績では心もとないのではないだろうか。

星野監督や、原監督は士気を高めるのは得意かもしれない。

しかし、もっとも大事と思われるチーム戦略については、心の底から選手は従わないおそれがある。監督の実績を見た上で、野球については自分のほうが上という無意識からくる忠誠心の低下である。

野球の話ばかり書いたが、これは仕事でも同じである。

社長がいうからとか、上司がいうからと、盲目的に従う時代はとっくに終わっている。
その上司がなにをやってきた人なのか、どれほど実力があるのかが、指導者として問われるのである。

もちろん、なにができる人なのかの前に、どのような人なのかというほうがベースになるのは事実だが、人格者というだけでは指導者としては心もとない時代ということなのだろう。

ちなみに、上で引用した落合監督が著した「コーチング」は野球ファンではなくてもお奨めである。落合監督は、2004年に中日の監督に就任以来、2度のリーグ優勝と1回の日本一というチーム成績に加え、井端、荒木、森野を一流選手に育てあげ、中村紀も再生し、その手腕、実績が球界で高く評価されている。本のサブタイトルにあるように、言葉と信念を大事にした落合監督の指導理論を知ることができる名著であるといえるだろう。

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