ソニックガーデン社の倉貫義人さんが執筆された「ザッソウ」を拝読しました。
ザッソウ 結果を出すチームの習慣 ホウレンソウに代わる「雑談+相談」
- 作者: 倉貫義人
- 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター
- 発売日: 2019/08/31
- メディア: 単行本
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「ザッソウ」とは
「ザッソウ」とは雑談+相談の造語です。
本書のメイン・テーマは、雑談と相談をチームコミュニケーションの土台にしていくことの提案です。
書籍を読んで感じた本書の特徴や感想を以下にあげていきます。
「チームの価値創造力」を高めることが中心コンセプト
私が「ザッソウ」を読んで納得感を感じたのは、チームが価値を創造し、成果を生むために「ザッソウ(雑談と相談)」が必要という観点から全体が書かれていることです。
チームの心理的安全性を高めたり、働きやすい職場をつくるのはなぜでしょうか。
その理由をつきつめると、チームが価値を創造し、成果を生むためです。
その目的を忘れてしまうと、うまくコミュニケーションを取っているようでも、実は衝突を回避したり、嫌われないための表面的なコミュニケーションだったりすることも多々あります。
本書は、チームが価値を創造し、成果を生むことを目的とした、しかし敷居が低く取り組みやすいコミュニケーション方法としての「ザッソウ」を提案していることに、書籍の骨太さを感じました。
チームコミュニケーションを俯瞰するための理論がまとまっている
雑談や相談によってコミュニケーションが活発化した結果、チーム内で衝突が起きるなどチームに変化が起きます。
また、日々、漫然と雑談していてよいのだろうかという不安に襲われることもあるかもしれません。
そのような時に、役立つのがコミュニケーションや心理学の理論です。
本書で紹介されているチームコミュニケーションの理論を知っておくことで、チームに起きた変化や現在地点を俯瞰できます。
それにより、自分たちの状況を客観的に考えることができるので、対策を考え、行動できるようになるでしょう。
また、ザッソウの目的・効果を知っておくことで、チーム内のザッソウの内容も時間とともに進歩していくことでしょう。
本書では紹介されている主な理論は以下のようなものです。
- SECIモデル
- ザッソウ4つのプロセス(U理論をベースに著者が作成)*1
- チームワークの7つの段階
- タックマンモデル
わたしも紹介されている理論は部分的には知っていたのですが、書籍にまとめていただいたことで、それぞれが関連付けられ深く知ることができました。
チーム内での役割や個人の段階に応じて読むことができる
本書は、チームリーダーやメンバーなどチーム内の役割や成長の段階に応じた、ザッソウのコツや考え方が書かれています。
- チームリーダーが、チームのコミュニケーションを活発化し、チームのレベルを高めていく考え方、ザッソウを促すコツ
- 経験の浅いメンバーが、チームでザッソウする考え方やコツ
自分の状況に応じて、必要な箇所を読んでみるとよいでしょう。
また、経験の浅いメンバーがリーダーの気持ちや考えを知ることもでき、リーダーもメンバーの気持ちを知る(思い出す)こともできるでしょう。
各個人が、自分と違う役割や段階の人についてお互いに知ることで、チームのコミュニケーションレベルもあがり、チーム力の底上げにつながります。
最後に
これからの時代は、人が時間をかけて作業していた単純な仕事は、AIやロボットによって自動化されます。
そのような時代では、人にしかできない仕事が人の仕事になります。
その仕事とは、未来のビジョンや実現したい価値を描き、それをカタチにし、価値を創造していくことです。
そのような仕事は、ひとりではなく複数人のチームで実現していくことになります。
そのときには、チームとしての創造力を高めることが、価値の実現につながります。
なぜなら、創造力に必要な、想像力、知識、発想、アイデア、技術力、視点、ビジョンなどは、人とのコミュニケーションから生まれてくることが多いからです。
チームの創造力を高め、最大限に価値を実現するためのコミュニケーション手法が「ザッソウ」です。
本書を読めばわかりますが、ザッソウは導入の敷居が極めて低く明日からでも始められます。
仕事の期限に追われているときは、少しでも早く手を動かしたい気持ちになります。
しかし日頃から「急がば回れ」の発想で「ザッソウ」を導入することで、ビジョンの実現に速く近づくチームになれるのではないでしょうか。
「ザッソウ」を価値を創造するチームのためのコミュニケーションガイドとしておすすめします。
*1:書籍を参照してください