8月10日に「いちばんやさしいPythonの教本」が出版されました。
書籍は、ビープラウドのメンバー、鈴木たかのり(@takanory)、杉谷弥月の2人で執筆しました。
レビューには、私も含めて以下のメンバーが参加しています。
社内レビュアー
ヘルプコラミスト
読者対象者
以下の方々が対象です。
- プログラミングを始めたい
- Pythonを学びたい
内容構成
書籍は10章構成です。
内容は、以下のように大きく5つに分かれています。
【1】プログラミング入門
プログラミングを始める方向けの内容です。プログラミングとは何か、どのように動作しているのかをPythonを使って丁寧に説明しています。
- 1章 Pythonを学ぶ準備をしよう
- 2章 コマンドプロンプトに慣れよう
- 3章 基礎を学びながらプログラムを作成しよう
【2】Pythonの基本文法
最も基本的かつ頻繁に使用する文法について説明しています。
- 4章 繰り返しと条件分岐を学ぼう
- 5章 辞書とファイルの扱いを学ぼう
【3】はじめてのアプリケーション開発
対話型のbotをつくりながら、Pythonのライブラリの使い方を学びます。
- 6章 会話botを作ろう
- 7章 ライブラリを使いこなそう
- 8章サードパーティ製パッケージを使いこなそう
【4】はじめてのWebアプリケーション開発
8章までつくったbotをWebアプリケーション化します。Webアプリケーションの基礎を学びます。
- 9章 Webアプリケーションを作成しよう
【5】Pythonのさらなる学び方
Pythonをさらに学ぶための、情報源となる書籍、サイト、コミュニティを紹介しています。
- 10章 さらに知識を身につけるための学び方
この書籍で読者が得られるもの
短時間でスイスイと読めて理解できる
この書籍では、プログラミングを始めたばかりの方が、プログラミングをスムーズに理解し、速習できることを1番の目的としています。
書籍を読むときに、分からない用語があったり、専門用語が当たり前に使われていると、その時点で読者の理解が止まってしまいます。
この書籍では、読者がプログラミングを理解する妨げにならないよう、内容構成、サンプル、図、説明の仕方にいたるまで、時間をかけて精査しています。
Pythonicな書籍
書籍では、わかりやすい文章を書くことは当たり前のことです。
なので、あえてここで書くことではないかも知れませんが、チーム内では以下のようなことを気をつけて内容を精査しました。
説明文章が冗長になっていないか。短く説明できないか
→ 文章が長いと、脳内メモリを使ってしまい、理解しにくくなる
説明、用語が曖昧になっていないか。明示的に説明できているか
→ 説明、用語が曖昧で暗示的だと、脳内で他の知識との突き合わせ確認が入り、理解が止まる
用語に表記のブレがないか
→ 表記にブレがある場合、脳内で他の知識との突き合わせ確認が入り、理解が止まる
気づいてみると、これら気をつけていたことは「Zen of Python」*1 に書かれている内容そのものです。
Explicit is better than implicit.
暗示するより明示するほうがいい
Readability counts.
読みやすいことは善である
Simple is better than complex.
複雑であるよりは平易であるほうがいい
There should be one-- and preferably only one --obvious way to do it.
たったひとつの冴えたやりかたがあるはずだ
これらをチームで繰り返した結果、簡潔で明示的な表現を良しとするPythonのように、読む人にとって理解しやすいPythonic(Pythonらしい)な書籍に仕上がりました。
また、書籍が全ページカラーなので、読者の直感的な理解の助けになるでしょう。
つまづきやすい概念も挫折せずに学べる
学びの段差をなるべく低くするように内容を練り、構成しています。
初心者向けの書籍は、基本的な内容を並べれば書籍になるわけではありません。
執筆時は、以下の作業の繰り返しです。
- 概念や専門用語を、理解できる小さな単位に細かく分割
- 伝わりやすい平易な表現を探す
- 表現をつなげて文章にする
- 何度も読み、理解しやすいかどうか反芻する
どのように説明したらプログラミングを始めたばかりの方が、つまづかずにプログラミングの概念を理解できるのか。
そのノウハウは、弊社の研修: BePROUD Pythonトレーニングや、弊社サービスのPytnonオンライン学習プラットフォームPyQで、Pythonプログラミング初心者向けのコンテンツを作成したり、教える経験の中で培われています。執筆者だけでなく、上記のレビュアーもPython研修の講師、PyQのコンテンツ作成を担当しています。
初めてプログラミングを学ぶ方も、日々忙しく時間がない中で、プログラミングを学ぼうと思い立った方がほとんだと思います。
そのような忙しい時間の中で、学んだ時間がムダにならないよう、挫折せずに学ぶことができる弊社のノウハウがこの書籍には盛り込まれています。
読み終えたあと、次のステップにスムーズに進みやすい
5章までで基本文法を学んだあとは、対話型のbotに機能を追加していくカタチで、Pythonの使い方を学んでいきます(6〜9章)。
対話型のbotのサンプルでは、この書籍で学び終えた人が、自分でアプリケーションをつくるという次のステップをイメージしやすいよう、実践的な内容を意識しています。
6〜9章を学ぶことで以下のこともあわせて知ることができます。
- アプリケーションに機能を徐々に追加していく流れ
- つくったアプリケーションをWebアプリケーション化する方法
Pythonは、それ単体でさまざまなことが実現できるライブラリが幅広く揃っていることで、バッテリー同梱(batteries included)と呼ばれています。
Pythonと同じくこの書籍も、プログラミングの基本、Pythonの基本文法、アプリケーション開発、Webのサーバーサイド開発まで、幅広く同梱されていますので、この一冊で応用できる基礎が身につきます。
オンラインPython学習プラットフォームPyQとのコラボレーション
書籍には、PyQ 用のキャンペーンコードが記載されています。
PyQへの会員登録時にキャンペーンコードを入力していただくと「いちばんやさしいPython教本」で学んだ内容がオンライン上で、プログラムを動かしながら学習することができます。(基礎文法のコンテンツも学習可能)
最後に
「いちばんやさしいPythonの教本」を読みやすく学びやすい内容に仕上げるために、原稿が印刷所に入る数時間前までチームメンバーで粘り、内容を精査しました。
執筆陣・レビュワーにとっても満足のいく書籍に仕上がりましたので、ぜひ手にとって頂ければと思います。
プログラミングは、体で憶えるというスポーツのような側面もあります。
この書籍では、シンプルながら実践的なプログラムのサンプルを用意しています。
ぜひ、実際に手を動かしながら、プログラミングを楽しく学んでください。

いちばんやさしいPythonの教本 人気講師が教える基礎からサーバサイド開発まで (「いちばんやさしい教本」シリーズ)
- 作者: 鈴木たかのり,杉谷弥月,株式会社ビープラウド
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2017/08/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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*1:Zen of Pythonとは、Pythonの思想をまとめた文章です。「import this」とPythonのプロンプトに打ち込むことにより表示されます。