中日の落合監督は、就任時の会見で「今までと180度違う野球をする」と宣言した。
「180度違う」とは、何が違うのか。
元楽天監督の野村克也氏が、その真意を聞きたくて、今年はじめのキャンプの対談時に落合監督に聞いたのだと言う。
野村氏の著書「野村の見立て」に書かれている内容を抜粋する。
直接本人から聞いて驚いたのは「180度違う野球」とは、選手の視点の180度転換だったと彼が話したことだ。落合監督がいうには、就任直後の選手たちは、ベンチの顔色ばかり窺いながらプレーしていたのだという。おそらく星野仙一監督当時からの鉄拳、強権のイメージが、選手達に根付いてしまったのか「監督に気に入られる行動を取らなくては」という思考にがんじがらめになっていたのだろう。
つまり、選手達は、戦う相手をみるのではなく、ベンチの監督の顔を見て戦うようになってしまっていたのである。戦う相手を見ずして、勝利はおぼつかないだろう。
同じような光景は、組織の規模に関わらず、会社などでよく見られる。
権力を持っている人に対して、どのように振る舞うかということばかりを、社員が考える。
それは、権力者に気に入られれば、自分の意見が通りやすかったり、自分の会社内での立場が良くなるからである。
そのように社員を行動させてしまっているのは、その権力者の責任である。
意識的か無意識かにせよ、日頃から社員の行動に対し、必ず自分の息がかかるようにし、自分の立場を誇示する。
それにより周囲の人を、精神的にがんじがらめにしていくのである。
会社が、このような状況で、よいサービスやモノがつくれるだろうか。
みるべき方向は社内ではなく、社会であるべきである。
社内の動きにエネルギーを取られているようでは、モノづくりはおぼつかないだろう。
より良いサービス、ものづくりをしていくためにも、権力者が生まれないようにしていきたい。
野村の見立て わたしが見抜いた意外な長所・短所/野村 克也
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