「○○の機能の開発は誰を担当にしようか」
「Aさんが前に担当して早いから、Aさんが担当で」
現場でよく聞く会話ですが、実は危険な会話です。
このように「早い」を基準とした、仕事の担当決めは「早さ」と引き換えに、さまざまなデメリットを負うことになり、長い目で見るとマイナスになっていることが多いのです。
(1)チーム内でセクショナリズムが生まれる。(あそこはAさんの担当という意識が芽生える)
(2)仕事が人についてしまう。メンバーの知識が偏る。
(3)チームメンバーが全体を見ようとする意識が薄れる。その結果仕様・設計等に矛盾があっても気づかない
このような場合、
「前、Aさんが担当したなら、今度はBさんが担当してください。わからないことがあったら、Aさんに相談してください」
というのが正解だと思います。つまり、Aさんの仕事はBさんが担当し、Aさんをサポート役に回すということです。
このようにタスクを「たすきがけ」にしてシャッフルすることにより、いろいろなメリットが自然に生まれます。
(1)知識の共有がはかれる。「誰でも」その仕事ができるようになる。慣れている同じ仕事をやっているよりも、経験値が増える
(2)お互いの知識レベルがわかる
(3)システム内の知識が均等化される。全体を見れる人間が育つ
(4)その担当分に関して知っている人間が多いことによって、トラブル時の対応が速い
(5)引継ぎが速い
特に(5)の引継ぎに関してですが、ある人がチームから抜けるとき「引継ぎに1か月はかかる」と言っているのを聞いたりすることがありますが、仕事が人についてしまっている証拠だと思っています。
チームメンバーの仕事担当に責任をもつ管理者・リーダーは、"短期的な"「早い」という誘惑に負けることなく、長期的な視点でチームが機能するように、考える必要があるのではないでしょうか。