2017年10月12日(木)に匠塾*1に参加してきました*2。
私は「匠Methodの良さを伝えて普及するには?」というテーマのチーム(通称ヘンタイチーム*3)に参加しました。
ゲームで楽しみながら学ぶ
チームでいろいろ話した結果、ボードゲームをつくると良さそうという方向に話が向かいました。
ゲームの内容について、以下のようなアイデアが出ました。
- 人生ゲームのようなイメージ
- ゲームをプレイしているうちに、価値から考える習慣がつく
- シナリオが複数あり、その中でロールが設定できる
- ゲームマスター(ファシリテーター)が1人いる
価値デザインモデルもつくりました。
ゲーム化により押しつけがましくなく、匠Methodのプロセスや考え方を楽しみながら自然に学べることが期待できます。ゲーミフィケーション*4を教育に活用する事例の1つではないでしょうか。
アイデアの導線
アイデアを考えるにあたり、以下の3つのゲームが参考になりました。
Not My Fault
エンジニアがPMに「オンスケです」とウソをつき続けるカードゲーム。
- 出版社/メーカー: スパ帝国
- 発売日: 2017/06/10
- メディア: おもちゃ&ホビー
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紹介記事:「進捗ヤバいプロジェクトに直面した経験がある人なら(多分)楽しめるカードゲーム「Not My Fault!」」
Fat Project
デスマーチとならないように注意しながら,クライアントの興味をひくようなITプロジェクトの要件を決めるカードゲーム。
紹介記事:「デスマーチを回避するITプロジェクトの要件定義ゲーム「Fat Project」がヴィレッジヴァンガード通販で発売。ブラックジャック風アナログゲーム」
「クラウド活用」「モノのインターネット」「人工知能」など、流行りの言葉や「過労死」「サポート切れ」「20万人月」などのつらいワードのカードが目をひきます。
7つの習慣
書籍「7つの習慣」を学べるボードゲーム。
- 出版社/メーカー: FRANKLIN
- メディア: おもちゃ&ホビー
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Google Home、Amazon Echoを使ったソリューションを考える
他の3チームは「Google Home*5、Amazon Echo*6を使って何かやろう」とPepperに飽きた社長から鶴の一声でソリューションを考えるという設定でした。
今回は、Google Home、Amazon Echoというソリューションありき、つまり「Howからの突き上げ」*7(要求開発の用語では「戦略のリバース*8」も近いアプローチです)によるプロジェクトです。
各チームの気づき
各チームの振り返り発表や、懇親会でうまれたトピックをまとめておきます。
方向性が決まるまでのファシリテーター
さまざまなアイデアが出る中で、広がりそうなアイデアが出てくるまで、会話をウォッチしながら探る。広がりそうなアイデアが出てきたら、そこに食いつき深掘りする。「システムのデーモン*9のようですね」と高崎さんと懇親会で話していました。daemon*10はギリシャ神話に「守護神」で、ファシリテーターを「場の守護神」と考えると、イメージ通りではないでしょうか。
ファシリテーターの存在感がなくなるチーム
ある盛り上がったチームに対して「ファシリテーターは誰だったんですか?」という質問がありました。「誰だっけ?いなかった!?」ということでしたが、実際は石田さんがファシリテーターだったようです。私も「ファシリテーター無色透明がよい*11」ということを良くいうのですが、本当に盛り上がるチームのファシリテーターは存在感がなくなるのかもしれません。
また、先日「グラフィック・ファシリテーション」という手法について、オージス総研の赤坂英彦さんに話をうかがいました。
グラフィック・ファシリテーションでは、はじめにファシリテーターが話の流れを絵に描き、そのあとはチームのメンバーがその絵を理想的なものに変え、ファシリテーターは何もせず場に任せるそうです。
ファシリテーターの存在感がなくなる(いない)ということは、グラフィック・ファシリテーションのファシリテートに近いのかもしれません。
該当のモデルを特定せず話しあう
匠Methodの価値デザインモデルをやろう、価値分析モデルをやろうということではなく、盛り上がって話した内容をモデルに配置していったら自然に2つのモデルが出来上がったそうです。
このチームは70分という時間の中で、2つのモデルを完成に近いレベルまでつくっていましたが、この方法は2つのモデル(価値分析モデル、価値デザインモデル)を別々につくるよりもスピードが上がりそうです。
最後に
今回はチームの課題が「匠Methodの良さを伝えて普及するには?」だったので、マーケティングの話になるかなと予想して参加したのですが「ゲームをつくる」という思ってもみなかった方向に話が進みました。
このように、匠塾ではチームで課題に取り組むので、人と話しているうちに思ってもみなかったような知識や学びが得られます。
プロジェクトでは、チームでアイデアを話し合い、合意形成し、進めていく場面が多々あると思います。
そのような場面で、思うがままにブレストをするよりも匠Methodを用いて進めたほうが、何倍も速くチームメンバーが納得のいく合意形成につながります。
匠塾は、そのような場を疑似体験できます。ときには話がうまく進まない場面にもなりますが、その雰囲気を疑似体験しておくと、実践では落ち着いて対応することができます。
チームの合意形成に課題をもっている方は、参加してみてはいかがでしょうか。
※匠塾は招待制の勉強会です。匠Methodに興味があり、匠塾に参加してみたい人は、私にFBメッセージでお声がけください。
匠Methodについて書かれた書籍はこちら
匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜
- 作者: 萩本順三
- 出版社/メーカー: 匠BusinessPlace出版
- 発売日: 2016/12/24
- メディア: Kindle版
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*1:毎月開催されている招待制の匠メソッドを学ぶ会です。株式会社アクティアCOO 高崎健太郎さんを塾長とする有志によって開催されています
*2:会場は前回に引き続き、NTTコムウェアさん(品川)でした。
*3:固定的にテーマを構えるのではなく、議論したいテーマを自由に見つけて、それに応じて態を変えるという意味で「ヘンタイ」。異常という意味の「変態」ではない
*4:課題の解決や顧客ロイヤリティの向上に、ゲームデザインの技術やメカニズムを利用する活動全般
*5:グーグルホームはユーザーがボイスコマンドを喋ることで搭載されている「Googleアシスタント」を通じてサービスを起動させる事ができる。グーグル社製とサードパーティー製の両方の多数のサービスが統合されており、ユーザーが音楽を聴いたり、ビデオや写真を見たり、声で最新ニュースを受け取ることが出来る。グーグルホームはホームオートメーション機能を備えており、ユーザーのボイスコマンドでスマートホーム家電を操作することが出来る。複数の部屋に置かれたグーグルホームの音楽の同期再生が可能であり、2017年4月のアップデートで最大6人のユーザーの声を識別可能な複数ユーザーサポート機能が追加された。WikiPediaより
*6:エコーは音声コントロールのAIアシスタントのAlexa(アレクサ)に接続しており、名前のアレクサで反応する。「起動ワード」はユーザーによって「アマゾン」、「エコー」、「コンピューター」に変更可能である 。エコーは音声交流や音楽のプレイバック、to-doリストの作成、アラームの設定、ポッドキャストのストリーミング、オーディオブックの再生と天気や交通情報、リアルタイム情報などの提供ができる。また、エコー自体をホームオートメーションハブとして使用し複数のスマートデバイスを操作可能である。WikiPadiaより
*7:技術、ソリューションありきで、要求を創り出す、イノベーションを産み出す考えかた
*8:戦略からスタートして課題レベル、実行レベルに落とし込むのではなく、はじめに課題ありきでスタートしたプロジェクトにおいて、その課題の解決が企業戦略のどれに該当するのかを逆に辿るプロセス-「ユーザーの役に立つシステムを作る 本当に使える要求定義[改訂版](日経BP Next ICT選書)」P.31より
*9:UNIXなどのマルチタスクオペレーティングシステム (OS) においてバックグラウンドプロセスとして動作するプログラム
*10:dameon(守護神)とはギリシャ神話に登場し、神々が煩わされたくないと考えた雑事を処理した存在。WikiPediaより
*11:私は「ファシリテーターは意見を言ってはいけない」いうと意味でこの言葉を使っています。ファシリテーターが意見を言い、メンバーの意見の振り分けをすると、場をコントロールしてしまい、言っても聞いてくれないというような雰囲気が生まれ、メンバーのモチベーションも下がり、新しい発想がでてこなくなるためです。