企業や公共団体における職員の横領事件の報道は後を絶たない。Yahooに掲載されている近年の横領事件を見てもその金額の大きさに驚かされる(参考:Yahooニュース、近年の巨額横領事件)。
・茨城県国民健康保険団体連合会、元職員が保険料を着服。11億391万5000円
・富士ゼロックス、元社員が架空取引で仕入れたパソコン約5300台を横領。約11億8000万円
・近鉄ビルサービス、社内の銀行振り込みシステムを不正に操作して、自分名義の複数の口座に振り込み、詐取。約10億5200万円
これら報道されるものに限らず、横領があったなどは時々聞く話であり、日々このような金銭トラブルは企業を舞台として起きているのではないだろうか。
「IT社長大失脚」という書籍を読んだ。株式公開を目前にしながら、詐欺集団の被害に遭い破綻したあるIT企業の元社長が著した書籍であるが、企業が巻き込まれる金銭トラブルのケーススタディとしてとても参考になる。
アクティビジョンという実在したストリーミングインフラを提供する会社の話である。企業が順調に成長している中、ある仕事のできる営業マンが入社する。その営業マンが紹介する人脈の広い男(詐欺師)とその知り合いの経理の女性により、徐々に企業は乗っ取られていくという現実にあった恐ろしい話である。このような詐欺を信用詐欺というのだそうだ。
規模に係わらず、企業は常に金銭トラブルに陥るリスクを抱えていることを経営者は忘れてはいけない。本業に集中するとの理由で、自分でお金の流れをチェックせず、ほとんどのことを人に任せてしまう経営者ほど、隙を狙われるのではないかと私は思う。
とはいえ、心構えだけでは完全に防ぐことはできないだろう。企業として確かで安全な活動をするには、不正をシステム的にチェックする仕組みをもつことが必須でないだろうか。金銭トラブルは今までに積み上げてきたものを一瞬にして破壊する恐ろしさを秘めている。経営者は、事業や営業などの攻めの面だけではなく、企業が巻き込まれるであろうトラブルのリスク管理を忘れてはならない。
IT社長大失脚―天国と地獄をみた男の告白/小野寺 隆
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