BPStudy#120の第2部は、主催の私が担当させていただきました*1。
会社としては道半ばですが、11年と少しの会社経営の中で起きたエピソードと、そこから学んだことをテーマにしました。
資料は以下です。
11年間を振り返ると、会社の大きな節目は3つありました。
節目その1:Pythonの採用
会社をつくってから2年弱の2008年4月に、会社のメインプログラミング言語にPythonを採用しました。
そのあと実績とノウハウを積み、2012年には実務でのノウハウをまとめた「Pythonプロフェッショナルプログラミング」を上梓するなど*2、Pythonistaが集まる会社として、ブランディングされていきました*3。

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日経ソフトウェアの2014年2月号には「技術のある企業に優秀な技術者が集まる」という特集で、Pythonという核になる技術を持っている企業として紹介されました。
そのようにPythonの活動を会社として続けていく中で、国際的カンファレンスのPyCon JP 2015では、私が基調講演を担当させていただきました。
その流れで、Developers Summit 2016で、コミュニティをテーマに登壇させていただきました。
その後ありがたいことに、Developers Summit 2017 、Developers Summit 2017 Summerにも登壇させていただいています。
- Developers Summit 2017 Winter に登壇しました。 - ビープラウド社長のブログ
- 勉強会で話すと何が良いのか〜Developers Summit 2017 Summerで登壇しました - ビープラウド社長のブログ
このように、Pythonを採用したのをきっかけに会社は大きく変化し、動いていきました。
そして、さまざまなタイプの人が入社してくる中で、私は以下のことを学びました。
今までの考え方や方法から、はみ出す人が現れたときが組織の器が広がるチャンス。違う考えを排除するのではなく「どうしたら融合できるか?」と考える
また、Pythonistaを中心に人を採用していくという活動の中でどのようなときにリスクを取り、思い切った行動をするべきかという経営者として大事な感覚を学びました。
節目その2:製品開発と匠Method
スライドにもあるように、ビープラウドでは自社製品の開発に7回トライして、そのうち5回は失敗に終わっています。
そのような中で、私は匠Methodを2012年から学び始め、コタツモデルという考え方を学びました。コタツモデルとは、経営者、業務担当者、IT担当者がコタツに入るように、ひざをつきあわせ、プロジェクトを進めていくスタイルです。
私は「任せる」という考えのもとに、会社メンバーに製品開発を託していましたが、匠Methodを学ぶ中で経営者として「コタツに入っていなかった」と気づいたのです。
つまり、それまでの製品開発の失敗の原因は経営者である私自身にあったのです。
そこに気がついた私は、2013年の後半からは、connpassチームにがっつりと入り、PyQチームにも朝会に毎日参加し議論するなど、経営者としてコタツに入り続けることを意識しています。
そしてその活動の中で、経営者が自ら現場に入って取り組む大事さを学び、メンバーが想像した未来の姿を実現に導いていくことが、自分のリーダーとしての役割であることに気づきました。
節目その3:BPカイゼン
会社の人数が30人を超えてくると会社の問題が顕在化し、2012年にはデスマーチが2回ありました。
特に2012年後半の2回目のデスマーチは、数カ月間収束せず、大きな痛みを伴いました。
私もデスマーチを収束すべく、朝9時〜夜3時まで仕事をし、翌日9時からまた仕事をするということを続けていくうちに、体力と精神を摩耗していきました。
チームの雰囲気もギスギスとしていて、私自身もその場に踏みとどまることが精一杯の状態。経営者として会社全体を見るどころではなくなっていました。
そのような中で、会社メンバーが「こんなことではいけない」と立ち上げてくれたのが、BPカイゼンです。BPカイゼンとは、会社で改善するべきことをredmineに課題として上げ、あるべき姿を考え、改善していくというボトムアップの取り組みです。
この取組みのおかげで会社の悪いところが少しずつ改善されていき、2017年までに目立つ改善点がなくなりました。
私は、ボトムアップの大事さと効果、主体的に仕事や組織に取り組んでる人のありがたさを学びました。
現在では、会社を将来に向けてどのような方向に変化させていくかという大きなビジョンをこのBPカイゼンで話し合っています。
これから先やっていきたいこと
ビープラウドのサイトのトップにミッションとして以下を掲げています。
知識、技術、創造力、チーム力を日々研鑽する。そのスキルを活用し、アイデアをカタチにし、価値を創り出す。
そのように仕事ができることで、会社メンバーがやりがいを感じながら仕事ができる環境をつくっていきたいです。
エンジニアが価値を創り出していくことについてはBPStudy#97で発表した以下のスライドにまとめています。
その他、これまでの経緯など
会社をつくるまでや、つくってからの経緯については、いくつかのメディアに掲載いただいたり、自分で勉強会で発表していますので、宜しければご覧ください。
2013年9月 連載:エンジニアの幸せな職場第1回
2016年7月4日付 情報産業新聞 「この人を訪ねて」
2017年4月 日経ITPro 「越境エンジニア列伝」
2011年12月16日のBPStudy#52 エンジニアの自分が会社をつくって5年間で起こったこと、学んだこと
2012年9月28日のBPStudy#61 私の履歴書(ヤング時代)
最後に
11年間というと長いようですが、あっという間の11年間でした。
時間の流れが速く感じていると、1年1年が惰性で流れてしまうことになりかねません。
そのときそのときを充実させ、大きな価値を生み出せるようこれからも進んでいきますのでよろしくお願いします。