1998年の長野オリンピック。スキージャンプ団体ラージヒルと個人ラージヒルで金メダルを獲得した船木和喜選手。この時22歳。その後、国際的なルール変更への影響で、2000年以降不振が続き、どん底まで落ちたという。
書籍「ベテラン力」に掲載されていた船木選手のコメント。
落ちるところまで落っこちて、プライドは粉々になりましたね。でも、あとはそれを拾い集めればいいかなって思ってました。粉々になったプライドを拾い集めていたら、多分、他のものも拾えたんでしょうね、以前の自分より大きくなったんです。
「プライドを捨てる」は良く聞く言葉であるが「プライドを拾い集める」は聞いたことが無い。「捨てる」よりも「拾い集める」方が、根気や粘り強さが必要である。その苦しさに耐えきれず辞めてしまう選手も多いだろう。
それでもジャンプを続けるモチベーションはどこにあったのだろうか。
それは「ジャンプを飛んでいないと自分が生きている気がしない」という気持ちにあったという。潔くあきらめるのではなく、自分らしくあることを選び、「続ける」という道に進んだのである。
輝かしい実績を残していた人が、結果が出なくなったとき、潔くあきらめて辞めることを良しとする人もいるだろう。しかしあきらめずに「続ける」という選択肢を選ぶことで、新たなシーンが現れるのではないだろうか。
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