今回は、会社のミッションについて書きます。
会社のホームページ上(http://www.beproud.jp/)には、会社のミッションについて以下のように書かれています。
『IT業界発展の一翼を担う存在として、IT技術(開発方法論・設計技法・実装技術およびそれらの活用方法)について日々絶えず研鑽し、成長すること。そして、そのたゆまぬ研鑽の結果である高度な技術力を用いて、ITサービス、ITシステム・ソフトウェアプロダクトの開発に大きな力を発揮し、社会に貢献すること』
まとめていうと、以下のようになります。
『日々研鑽し、その研鑽の結果である専門性(技術力)によって社会に貢献すること』
ビープラウド社は、私自身が1人のITエンジニアとして、ITシステム開発の仕事を得意としていることもあり、ITエンジニアが集まる会社となっています。よって、ITエンジニアが果たすべきミッションとなっています。
このミッションも、会社の成長に従い、変化していくものと思います。しかし、私が長年にわたって築いた価値観に基づくものなので軸足はぶれることはないでしょう。
■日々の研鑽〜3つのステップ
ミッションにある「ITエンジニアの日々の研鑽」とはどのようなことでしょうか。私は、以下の(1)〜(3)のステップを実践し、それを絶えず繰り返すことであると考えています。
(1)専門技術を学ぶ
↓
(2)価値観を身につける
↓
(3)実践し、専門技術・価値観を内在化する
(1)〜(3)を絶えず繰り返すことにより、大きな成長ループを描く
これが、社会に貢献できる価値の高いエンジニアになる方法だと考えています。
順にそれぞれのステップについて、書いていきます。
■ステップ1.専門技術を学ぶ
IT業界で、専門技術と言われて一番わかりやすいのは、プログラミングです。
ソフトウェア開発に関わることになった人のほとんどは、まずプログラミング言語を学びます。それはJavaであったりC言語であったり、最近ではスクリプト言語のrubyであったりするかも知れません。
プログラミングを学ぶことによって、ITのシステム開発の成果物であるコンピュータプログラムを生み出すことができ、初級プログラマとして、最低限プロジェクトに貢献できるわけです。
プログラミング以外にも、専門技術としては、OS、ネットワーク、データベース、データ設計、モデリング技術、ツール・・・etc。これらの技術を身につけるため、エンジニアたちは日夜本当に努力しています。
これらが一通り身についた段階で、自分に自信がつくことはとてもよいことです。
しかし、自分の価値を最大限に高め、社会に大きく貢献するITエンジニアになるためには、この専門技術が身についた段階で満足してはいけません。
少々厳しいことをいうと、この段階では『コンピュータを動かせる』だけの存在です。残念ですが、マンパワー扱いされてしまう人もこの段階で止まってしまう人です。
専門技術については「どうしたら動くのか」を知ったら、その次に「どうしたら効率的に開発できるのか」という作業の効率性を追求する段階に入ります。
例えばそれは、より素早いキーボードタッチの方法、エディタの操作方法であったり、作業環境のセットアップであったり、ツールの使い方であったりします。
この話題を一緒に書くと、全体が長くなって、伝えたいことがぼやけてしまう恐れがあるので、別のエントリーで書きたいと思います。
■ステップ2.価値観を身につける
ITエンジニアとして、専門技術を身につけた後の次のステップとして、その人なりの価値観を身につけるというステップに進む必要があります。
そして、その価値観を実際の仕事に反映してこそ、ITシステム開発において存在感を発揮し、かけがえのない存在となることができるのです。
★ITエンジニアの価値観とは
「何が良いことなのか、悪いことなのか、判断基準を自分の中に持つ」ということです。
ソフトウェアは、その名前のとおり、つくり手により柔軟に自由に作ることができてしまうという恐ろしさがあります。
そのため、動いてはいるが、中身は目も当てられないといったことが日常で起こりえます。作った側は悪気があってそのようにつくったわけではなく、正しい価値観を持ち合わせていなかったために、間違ったものを一生懸命つくってしまったと言えます。
このようにしてつくられた、システムが実際に動き出すと悲劇が訪れます。
そのシステムに関わる全ての人たちが、そのシステムに振り回され、不効率な業務、残業の日々といったことになってしまいます。
そのような悲劇を防ぐためにも正しい価値観をもつことが、システムの作り手に立つ人間にはとても重要になります。
★価値観をどのように手にいれるか
では、価値観はどのように手に入れたら良いでしょうか。
まずは「本を読む」ということがその入り口となります。
IT系の書籍も、どうしたら動くのか、どのような仕組みになっているのかについて書かれた書籍と、ソフトウェア開発がもたらすトレードオフについて著者によって検討され、体系的にまとめられた書籍の大きく2つに分類されます。
私が、価値観を身につけるために役に立ったのは後者に分類される本です。
私が6、7年前から現在に至るまで何度も読み返した書籍の一例を以下にあげます。
『達人プログラマ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894712741
『リファクタリング』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894712288/
『ソフトウェア開発201の鉄則』
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822290026
『UMLによる統一ソフトウェア開発プロセス』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4881358367
『オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン 』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797311126
『SEを極める』
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822207773
『信頼されるSEの条件』
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4822207854/ref=pd_bxgy_b_img_b/503-3462019-9227104
『SEの仕事を楽しくしよう』
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4883731944
『Javaの格言』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894711877
これらは、ほんの一例です。
ここで、本を読むことを価値観を身につける入り口としましたが、実は本を読むなどの学習をしなくても、価値観を身につけることはできます。それは、実際の業務で経験したことから身についた価値観です。
実際の業務で、何かの失敗を経験した後、同じパターンの事柄が発生した場合『それは悪いことだ』と判断することができます。
多くの業務を数年こなしていけば、これらの判断基準が少しずつ積もり、良いこと、悪いことの判断ができるようになっていきます。
しかし、その経験した業務から来る判断基準は狭い判断基準と言えるでしょう。新しいパターンの業務が来たら、また失敗するのでしょうか。また前の業務で『良かったこと』も、他の業務では、良いこととは限りません。
■ステップ3.実践し、専門技術・価値観を内在化する
さきほど「本を読むことが価値観を身につける入り口となる」と書きました。
ここで、入り口と書いたのは「学んでいるだけでは、本物の価値観を身につけることはできない」ということを伝えたかったからです。
学んでいるだけで、実践しないのは、残念ながら「お勉強」の域を出ません。
本を読んでいて、理論を学んでもすぐにはぴんと来ないことがあります。というよりも、最初は、ほとんどの事がぴんと来ないかも知れません。
しかし、なにかを自分で学んだあと、実際に仕事をしていると、本で学んだことと実際のシステムが頭の中でつながり、今までばらばらだった知識が、するするとつながる瞬間が訪れます。今までの勉強のご褒美の瞬間とも言えるでしょう。
また、新しい技術・方法論を自分で学び、それを実際の業務に適用し、苦労しながらも、その実際の適用ポイント、使いどころ、技術的注意点を学び、実際の運用でうまくいった成功体験。またその過程でさまざまな価値観を学びます。
これらは、ITエンジニアとして、階段を何段も一気に駆け上がった瞬間とも言えると思います。このように身につけた専門技術・価値観が、本物です。本人の中で大きな宝となり、その後も長い間貢献してくれることでしょう。
私は、このように学習したスキル・知識・価値観を実際に活用し、その結果、その人のものに完全になった状態のことを「専門技術・価値観の内在化」と呼んでいます。
学習するからには、この段階まで持っていけるよう頑張るべきです。
■専門性で社会に貢献する
現代のインターネットをはじめとするITの発展ととその活用は、ここ数年で爆発的に伸びています。ITシステムはすでに社会インフラともいえるのではないでしょうか。
しかし、ただ、つくればよいというわけではありません。インフラというからには、しっかりとしたものをつくる必要があります。そこには、高いITの専門性を持った人材が必要となります。
ビープラウドの使命は「日々研鑽し、ITの高い専門性を身につけること。そして、その専門性を生かして、社会に貢献すること」です。
そのためにも、繰り返しですが、以下のステップを絶えず繰り返すことだと考えています。
(1)専門技術を学ぶ
↓
(2)価値観を身につける
↓
(3)実践し、専門技術・価値観を内在化する
なにかの本で読んだのですが、ある人が、松下幸之助さんに、
「松下は何をつくっている会社か?」と質問したところ、
「人をつくっている会社です」と答えたそうです。
ビープラウドも、優秀なIT人材をつくり、輩出する企業になっていきたいと思います。