2019/6/22(土)、23(日)にDevLOVE Xに参加しました*1。
私は2日間で11セッションに参加しました。
今後に役立てるためにも、ブログにまとめたいと思います。
参加の目的
DevLOVE Xには、以下の目的で参加しました。
- いまのIT業界で活躍しているひとたちが、いま何を考えどのようなことを話すのかを聴き、2019年6月時点のIT業界、エンジニア界隈の動向や雰囲気を感じる
- 自分の知識や感覚をアップデートする
- アップデートした結果を、自分の行動と会社の事業につなげる
感想
全体
登壇者のメンバーが豪華で、かつ内容も興味深いため、各時間帯でどのセッションに参加するのに迷いました。これだけのメンバーが集ったのは今までのDevLOVEの方々の取り組みの結果かと思います。
イベントの内容、活気・雰囲気ともに、今後の記憶に残る素晴らしいイベントでした。
スタッフのみなさん、登壇者のみなさん、素晴らしいイベントをありがとうございました。
各セッション
- 各セッション、登壇者の方々が時間をかけて準備されていてるのがひしひしと伝わってくる質の高い発表でした
- 主催側から登壇者が自分のこと(この10年とこれからの10年)について話してくださいと依頼されているらしく、情報や知識だけではなく登壇者のいままでの歩みを聞けたのがとても楽しめました。ヒトの人生はひとつのエンターテイメントであり、素晴しいコンテンツになるなと感じました。
- 「早く行きたければ一人でいけ 遠くへ行きたければみんなでいけ。」の言葉が、4人の発表スライドに登場したので、「Whyから始めよ」とともに、DevLOVEコミュニティの共通認識として浸透していて素晴らしいとおもいました
- 各発表に、エンジニアがいま考えていること、どのようにしていきたいかということがにじみ出ていました。非ITエンジニア系の経営者やITエンジニアと仕事をするビジネスサイドの方々は、今回のDevLOVE X のようなテーマのイベントに参加するとITエンジニアの気持ちが分かって良いと思います*2
会場、その他
- NAVITIMEさんの会場が素晴らしかったです。各部屋のスクリーンも大きく、壁を取り除いて大きな会場にできるのも羨ましいです
- 体調不良で土曜日の朝から声が出なくなってしまいました。いろいろな人とお話したかったのですが、懇親会に出ても何も話せないので、泣く泣く撤収しました。
各セッションのまとめ
以下は、個人的なメモ・学び、感想です。
※ 参加した11セッション全てなので長いです。
参加したセッション(敬省略)
及部 敬雄 「【勝手に基調講演】アジャイルで目指した坂の上の雲」
資料
https://speakerdeck.com/takaking22/clouds-above-the-hill
参加目的
- モブワークに取り組み、チームでFAした及部さんのチーム論、マインドを知るため
学び・持ち帰ったこと
- チームワークの改善を進めると、プロダクトオーナー領域にボトルネックが集まる
- そのため、チームメンバーが越境し、プロダクトオーナー領域の仕事を考え、取り組むことが必要
- チームの力を上げてから個人の力を上げていくのが取り組みやすいし、進めやすい
- ただし、チームを個人の隠れ蓑にしない
- 良いチーム = 個を成長させるチーム、チームを成長させる個
- タックマンモデル(チームの状態遷移) 形成期→混乱期→統一期→機能期
- 機能期にとどまるのは停滞するリスクがある。
- 新しい取り組みで、安定を壊し混乱期に戻さないと、チームは成長していけない
感想
及部さんの経験から、自分の言葉で語られていたので納得感がありました。個人の成長が組織の成長につながると思っていましたが、チームの力を上げてから個人の力を上げるほうが取り組みやすいという話は参考になりました。
篠原 徳隆 「ゼロイチ人材の存在意義と生存戦略」
資料
参加目的
- 自社でゼロイチで事業を立ち上げているので、ゼロイチ人材に必要なスキル、仕事、マインドについて知る
学び・持ち帰ったこと
- 不確実性に取り組むには、一つずつ、背骨を作りながら進めること
- 専門家になる必要はないが、専門家に依頼できるように情報を集め、学ぶ
- プロダクトを作るときは、全て実行する要素。一つでも欠けてはいけない
- プロダクトをつくるときは美意識が大事
- ゼロイチ人材の要素(以下のスライドの左半分)
感想
ゼロイチに求められる人材と、それを成長・拡大させていく人材では、タイプ、特徴、役割、求める能力、仕事が異なってくるし、適正があるということが、篠原さんの話を聞いていてわかりました(篠原さんはゼロイチ人材の方が得意)。
資料がきれいにまとめられていて、自社でゼロイチ(0→1)、イチヒャク(1→100)を組み立てる時に、全体を俯瞰するための資料にスライドが役立ちそうです。
発表の筋からは逸れますがヴァル研究所のように、データ、資産をもっているとそのリソースをもとに数多くの事業を立ち上げることができるのだなと思いました。
小島 英揮 正しいコミュニティを正しくつくる ~コミュニティ成長の不確実性をいかに乗り越えるか?~
資料
参加目的
- コミュニティを発展させていくための考え方を知る
- コミュニティをマーケティングにつなげ、ビジネスにつなげていく考え方を知る
学び・持ち帰ったこと
- コミュニティのアウトプット
- コミュニティのアウトプットが増える→コミュニティを軸にフィードバックループが出来る→興味を持つ人が増え参加者が増える
- コミュニティのコンテンツの質を上げるには?メインセッションとLTセッションを用意する
- コミュニティの関心軸によるグロース
- コミュニティを大きくするには、関心軸に人が集まるようにし、コミュニティをオープンにする
- 関心事のコンテキストがゆるいと、ゆるいまま終わっていない
- 関心事軸ではなく、ヒト軸(有名人軸)でコミュニティに人が集まると、内輪ウケ、ヒエラルキー(有名人に近いかどうかで決まる)、マンネリ化が起こりやすい
- 無料のピザとビールで参加者を集めているうちはコミュニティは発展しない。人は増えるがノイズが増える。500円でも1000円でも参加者から集める
- コミュニティ内での役割と立ち位置
- コミュニティを始めたときは、リーダーとフォロワーが大事。ワナビーズは気にしない
- リーダーにフォロワーがつかないと、リーダーは変な人のまま
- ワナビーズよりもフォロワーになる。そうすると世界が広がる
- コミュニティで、登壇側に回ると変化する。話しかけられやすくなる。フィードバックをもらえる。1をアウトプットすると10のインプットが集まる
- その他
- オフラインファースト
- オンラインで、その場を盛り上げられるファシリテーターは稀有
- 1つのテーマに20人くらいしか集まらなかったら分科会にする(株分け)
- オフラインファースト
感想
コミュニティを発展させるためのポイント、軸がよく理解できました。フォロワーの重要性という話は自分も心に留め、自分がリーダーではないコミュニティでも実践できればと思います。
伊藤 英明 あるUXerがバズワードに翻弄される10(+10)年の話
資料
参加目的
- UXを仕事にしている人がどのような仕事をし、何を考えているかを知る
- 自分がUXの仕事に携わるときの知識を得る
学び・持ち帰ったこと
- HCD(Human Centered Design)
- インタラクティブシステムを使いやすくするためにユーザの立場や視点に立って設計するプロセス
- UXデザイナーとして担っていた役割
- 決めるための情報を集める役割
- PMとともに決める役割
- Product Ownerも兼務していた
- 決めたことを開発チームと共有する役割
- 要件どおりの開発がされたかを確かめる役割
- MVPキャンバス
- UXRED
- 属人的に語られていたUXデザイン従事者の現状課題を明らかにする
- 解決のためのアクションをとる
- スライド(P.56)
- UXD従事者のスキル・役割が不明確なために、ステークホルダーの漠然とした期待に応えることに時間を費やしている。その一方でUXデザインの価値を高める活動が不十分
- 事業企画にUXD従事者を参画させる
感想
UXデザイナーの役割、定義があいまいで、多能工になりがちという話が参考になりました。そのため、実プロジェクトでは、UXの定義・範囲はしっかりと定めておく必要がありそうと認識できました。「人間中心設計」についても、学んでみようと思います。
安井 力 何だかんだ言っても好きなことが役に立ってきた
資料
参加目的
- 「アジャイルな見積りと計画づくり」を折に触れて読んでいるので、その翻訳者のやっとむさんのお話を聴講する
- 好きなことが役に立ち、生きていけるという実例を聞き、参考にする
学び・持ち帰ったこと
- プランニングポーカーは、ただ数字を出すのではなく、出した数字について対話し、知っていること、知らないことを引き出すことがだいじ
- 心理的安全性
- チームが機能するとはどういうことか→買いました
- 心理的安全と責任(4つの組織的元型)
- スライド(P.45)
- 心理的安全が高くて、責任が高い方が学習につながり成長できる
- 心理的安全性が高くて、責任がない場合、快適なだけ
- 心理的安全はチームの人間関係に限らない
- ユーザー、顧客、マネージャーとの関係での心理的安全性は大事
- 生きがい・至福
- 正しさよりも好きかをまず考える
- 「アジャイルな見積りと計画づくり」、10周年イベントが企画進行中らしい
感想
日々の仕事では「取り組むべきかどうか」を中心に考えがちです。お話を伺い「好きかどうか考える」というひとつの視点を得ることができました。ただ、当然ですが「好き嫌い」だけで仕事を進めないようには注意したいと思います。
書籍「アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~」のポイントも聴くことができて参考になりました。
原田 巌 アジャイルで忘れてしまったもの、そして、再び拾い集めたもの 〜モデリングもしないでアジャイルとは何事だ!から早幾年〜
資料
参加目的
- モデリングとアジャイルの関係を知る
- アジャイルで忘れてしまったものとは何かを知る
学び・持ち帰ったこと
- V字モデルを心の中にもっていない人が多い。V字モデルというと、ウォーターフォールをイメージするかもしれないが、そうではない。ソフトウェア開発で必要な作業を示している
- V字が直線になる瞬間
- どの段階にいても、常に話の要求元を考える
- 「抽象化が難しいからモデルが書けない」→現実はもっと難しいので、皆がどのように現実を捉えているためにもモデリングは取り組む必要がある
- 「モデリングは、できるか、できないかじゃない。やる!」 手を動かすことが大事
- モデルを通して対話をする
感想
世の中の開発現場では、図が書けない、モデルが書けない(設計ができないと一緒ではないでしょうか)、開発の全体が見えてない人が多い、というのが感じられました(私もその認識でしたが、同じなのだなぁと)。アジャイル+モデリングを広めてほしいです。
漆原 茂 10年後の僕たちに送りたいメッセージ 〜未来のエンジニアに幸あれ〜
資料
参加目的
- デブサミ2019で、ベストスピーカー総合1位になった漆原さんのお話を聴講する
- 自分の今後の10年について考える
学び・持ち帰ったこと
- 大人になると時間が早く過ぎるのは、人生にトキメキが無くなったから
- 大事な人生ボーッと生きてんじゃねーよ!ということ
- 歳を重ねても覚える能力は低下しない
- むしろ年を経てからピークを迎える能力もある(人の気持ちを感じ取る力、世界を把握する力など)
- 時代や技術の変化は激しいが、10年後も明るいどMに徹しろ!
- 急に素人でゼロから始めることを恐れない(邪魔するもの:プライド、不安、嫉妬)
- 超一流を産む→10年以上の継続的な鍛錬の結果(10000時間)。得意と感じるには1000時間で良い
- まず最初に楽しく没頭して1000時間取り組み「得意」にする
- 新しい知識習得は記憶力や脳の処理能力を向上させる
- 有酸素運動も毎日40分続けると1年後には脳の能力が向上している
感想
「私はもう年取ったから」「若いときより能力が衰えたから」といって何もしなくなってしまうのか、それとも時代の変化を楽しみ新しいことに取り組むのかで、540度違うと認識できました。自分の日々新しいことにチャレンジしていきたいと思います。
沢渡 あまね 『仕事ごっこ』をやさしく滅ぼす
資料
目的
- 仕事ごっこを自社で撲滅するため
学び・持ち帰ったこと
- 仕事ごっこの定義
- 生まれた当初は合理性があったものの、時代や価値観の変化、技術進化にともない、生産性やモチベーションの足をひっぱる厄介者と化した仕事や習慣
- コラボレーションひいてはその組織とそこで働く人の健全な成長を邪魔する形骸化した仕事や慣習。あるいは仕事のための仕事
- 紙の仕事のトラップ
- 紙の作業は悪気なく仕事を邪魔する。
- わがままなお殿様
- 社内接待による、きれいな資料、社内プロセスの大量生産
- 上司が威圧的に要求(無意識のマウンティング)→部下がディフェンシブになる→ムダな仕事発生 の流れ(私の私見)
- 偉い人になりたがる人は、江戸時代の殿様になりたいのだろう(私の私見)
- 時代遅れのビジネスマナーで、組織内のコラボレーションが遅くなっていくと組織の力が失われていく。ブランドイメージも下げることになる→アップデートしよう
- 従業員に拒否権のまったくない、一方的な転勤制度
- (感想)海外に支店つくったから行ってきてくれとか、自分にはできないなぁ(本人が行きたいなら可)
感想
世の中の会社で起きている切実な現実:仕事ごっこが、童話風にユーモアに語られ、どの話も記憶に残りました。2019/7/6に発売される書籍「仕事ごっこ ~その“あたりまえ"、いまどき必要ですか?)」が世の中に広まり、仕事ごっこに携わる多くの人が解放されてほしいです。
中川 伸一 「Lean Baseball - 技術と野球とPythonから学んだこと」
資料
目的
- ブログでホームランを飛ばす中川さんの極意を聴講する
- 野球についてひとつでも学び、知識を得る
学び・持ち帰ったこと
- 「自分のことば」で書いたコンテンツは強い( ポジション・トークと煽りをやめる )
- 読む人を定義する
- 単に本を紹介するだけではなく、学び方やそのときのトレンドも含めて伝える。
- 複数人(推定25〜334人)に同じことを聞かれたら、それをブログコンテンツにしたら当たる
- 経験値からだけで仕事をしないようにする。そのために、ゼロベースに戻る、新しいことを始める
- 個人の活動は、常にホームランを狙う(インパクトが残るようなことをひたすらやる) 。ホームランは狙って打つ
感想
ホームランを狙うといっても、力任せに振って入ったまぐれのホームランと、技術と読みをもって狙って打ったホームランは、540度違います。中川さんは最初にまぐれで本塁打を打った(結果、炎上)かもしれませんが、そのあとは、技術と読みを使って狙って本塁打(ヒット記事)を打ってきたと思われます。
ホームランは、地道に技術力を磨き、リーン思考で仮説と検証を繰り返して、読みの精度を上げてきた賜物でしょう。
羽山 祥樹 人にうれしいAIのUXデザイン - Googleの「People + AI Guidebook」をひもとく
資料
目的
- People + AI Guidebookに興味があったので、内容を知る
- Human Centerd Designに取り組んでいる人の話を聴き、UXまわりの知見を増やす
学び・持ち帰ったこと
- 本家サイト https://pair.withgoogle.com/
- 2019/5/9 のGoogle I/Oで発表
- 翻訳サイト(羽山さん翻訳) : http://storywriter.jp/pair/
- ユーザーニーズ+成功の定義
- システム全体でユーザー体験をつくる
- 裏がAIかどうかはユーザーには関係ない(学習が不足しているとか)
- 技術の使い方。自動化が好ましいのか、人の力を拡張するのが良いのか
- 期待値のデザイン
- メンタルモデルが誤っていると、ユーザーの期待とズレが生じる
- AIは人間と同じような振る舞いすると期待してしまう
- 身の丈にあった事前期待にする
- 期待値はプロダクト以外でも作られる
- 類似の機能やプロダクトの、既存のメンタルモデル
- マーケティングメッセージ
- オンボーディング
- マニュアル
- メンタルモデルが誤っていると、ユーザーの期待とズレが生じる
- 人間が技術に歩み寄る
- ITリテラシーがあるように、AIリテラシーもある。時間をかけて浸透させていく
- エラー+上手な失敗
感想
今後、AI、機械学習を使った、システム企画などが増えてくると思われます。その際に「People + AI Guidebook」は役に立ちそうです。羽山さんのスライド、翻訳サイトともに活用させてもらいます。
カカカカック 技術ブロガーを育てる!ブログメンタリングで何を教えているのか
資料
目的
- ブログメンタリング(ブログメンタル)について学び、自分のブログ執筆に役立てる
- ブログについてあらためて考える
学び・持ち帰ったこと
- 公開URLでアクセスできるアウトプットこそ重要 Public URL-ize
- 社内向けでも、汎用化し公開URLにするのが大事
- なぜブログを書くのか?
- ①忘れないようにメモを残したい
- ②理解を整理してもっと詳しくなりたい。執筆を通して理解を深める
- ③誰かの役に立ちたい
- 相乗効果 自分のことを知ってもらう
- ブログを続けるメンタルと習慣
- 習慣化できないひとは、平日と休日という言葉をつかう。1週間に平日も休日もない
- 習慣化できないひとは「休日にやる」という
- 「仕事が忙しくて書けません」 ブログよりも仕事が大切という、暗黙的な価値観に疑問を投げかける→ブログを自己成長に置き換えたらどう?
- 1週間168時間ある。無限のパフォーマンスが出せる!
- 1週間は冷静に見ると長い。時間を浪費してないかを確認しようということ
- 書けない理由のすべてに解決策を提示する
- 「旅行に行くので、ブログが書けません」→前々から予定は決まっているので、事前に記事を下書きしておく→仕事が忙しくなる週なども想定し、常に下書きを持っておく
- 習慣から外れるのは例外的なことが起きたとき
- 例外に対応できるように準備しておく
- 習慣化できないひとは、平日と休日という言葉をつかう。1週間に平日も休日もない
- ブログを趣味として考えたら
- たとえば旅行が趣味の人が、旅行に行くのが苦痛だとか、憂鬱だとかはない
感想
ブログを書くメリットは感じているのになかなか書けない自分がいましたが、ブログを続けるマインドを学べたので活かしたいと思います。
今後ブログを習慣化できるように、今回の話を参考に自分の中のメンターをつくろうとおもいます。「ブログを趣味と考えたら」というは発想は新鮮でした。