ビープラウド社長のブログ

株式会社ビープラウドの社長が、日々の思いなどを綴っていきます。

プログラミングを学ぶとなにがよいのか〜流山高校で講義してきました

2017年8月25日に、千葉県立流山高校で講義をさせていただきました。

あと数年で社会に出る生徒達が、進路を考える際に少しでも役立つようにと、内容を考えました。

以下は、講義の資料です。

全体の流れ

人が取り組むべきこと(キャリア、やりたいこと)は、以下の式で考えられます。

機会(ニーズ)強み(シーズ)= 取り組むべきこと(キャリア、やりたいこと)

生徒たちが、自分のやりたいことをみつけるためのヒントを得られるように、講義はこの式に従い進めました。

機会(ニーズ)を捉える

取り組むべきことを考えるには、時代のニーズを捉える必要があります。自分がやりたいと思っても、世の中から求められていなかったら、収入を得られません。

お金のために仕事をする訳ではないとはいえ、収入が得られないということは、取り組んでいることが、その時代や世の中では価値がないとも考えられます。

受講生は、日頃プログラミングを学んでいる生徒たちだったので、プログラマーをテーマの中心として、プログラマーに対するニーズや、現代の世の中の流れ、プログラマーの仕事について、以下のようなお話をしました。

  • プログラマーが世の中で必要とされている
  • 時代の大きな流れ

    • 日本が人口減少の時代=人間の代わりが必要な社会(ロボット、AI)
    • 第4次産業革命(AI・機械学習の発展)
    • スマホ・タブレットなどの普及による情報爆発
    • すぐに始められる社会
  • プログラマーの仕事とは

強み(シーズ)を見つける

世の中のニーズに応えて仕事をしているだけでは、自分の持ち味を発揮できず仕事も長続きしません。自分をおさえ続けた結果、燃え尽きてしまうこともありえます。

世の中に価値を生み出し続ける仕事をするには、自分は何が強いのか?自分の性格は?自分の好きなことは何か?などを模索しながら、自分が取り組むべきことを考えます。

それが仕事をする幸せにもつながります。

なぜ勉強するのか

「学生の本分は勉強」といいますが、そもそも人はなぜ勉強するのでしょうか。

「良い学校に入るため」「良い会社に入ってやりたいことをやるため」などが理由として考えられます。

「人はなぜ勉強するのか」という書籍がありますが、講義ではこの書籍の内容をかんたんに説明しました。

説明した内容を、以下に抜粋します。

(P.26)

「自分探し」の勉強*1を続けるうちにやがて機が熟すと不思議なことが起こります。それは、自分のかけがえのない尊い持ち味を見つけてそれを鍛錬し、卓越した状態にまで高める「卓越性の追求」の志と、人々みんなの公共の幸せのために進んで役割取得をする「普遍的な自己実現」の志とが、わが志において一つに結びつくことです。これを「立志」といいます。

(P.27)

つまり立志とは、自分の持ち味を発揮することが世の中の人々のために役立つという自分独特の道を見つけ、その道に志すほかならないのです。だから立志とは自分の人生をデザインすることなのです。

(P.29)

「自分探し」の勉強をして自分の尊い持ち味がわかり、その持ち味を発揮して人々の幸福に役立つ道を見つけて「公なるもの」への役割取得をなし、生きがいのある人生を送るような人生のデザインをすることこそ、人はなぜ勉強するのか、学ぶのかという問いに対する基本的な答え

「なぜ、勉強するのか」という問いに対する回答を以下にまとめます。

  • 自分探しの勉強

    勉強を通じて、自分の持ち味を見つける。それを卓越した状態にまで高める

  • 立志

    人生のデザイン。持ち味を発揮し、社会での役割をみつけ生きがいのある人生を送る

勉強とは、自分の強みを見つけるためのきっかけであると言えるのではないでしょうか。

チームワークの重要性

スキルさえ身につければ人と話さなくて良い、関わらなくて良いからという理由で、プログラマーを仕事として選択する人がいます。

しかし、この認識は誤りです。

なぜなら、現代の専門知識は高度化し、かつ進化が速いので、成果を出すために必要な専門知識をひとりで全て学ぶことは不可能であり、他の人と仕事をしないと価値や成果をつくりだせないからです。

そのため、価値や成果をつくりだすためには、相乗効果を発揮するためのチームワーク、人との協力が欠かせません。

P・F・ドラッカーの言葉の以下の言葉が、これを現しています。

知識労働者の専門知識はそれだけでは何も生まない。他の専門知識と結合して初めて生産的な存在となる。

自分の価値を高める社会での立ち位置を考える

1つのスキルを身につけたとしても、それだけで一生は生きていけません。

なぜなら、現代は変化の速い複雑な社会だからです。

また、同じようなスキルをもつ人が世の中に多くいる場合、よほどそのジャンルを極めて、レベルが高くない限り一流にはなれません。

加えて弁護士、医師、会計士、経営など専門職の仕事でさえも、AIが代わりを務めることができる事例が生まれてきています。

複雑な社会で価値を生み出すには、単一のスキルだけではなく、複数のスキルや知識、強みを組み合わせて、変化に対応し、価値を創り出す力が必要です。

掛け算で組み合わせたスキルや経験が、その人の「個性」であり、「生きていく力」であるといえるでしょう。

そして、その掛け算で組み合わせた希少性が、社会でのその人の立ち位置となり、価値を高めることでしょう。

続けることの重要性

講義では「これだ」ということを始めたら、ある程度は続けることの重要性を伝えました。

これは、ドラクエの転職にたとえて説明しました。たとえば、戦士が、魔法使いなど他の職業に転職したとしてもレベル2や3ですぐに転職してしまったら、後の戦いで、魔法使いの能力は使えません。

なぜなら、後の戦いでは、自分自身の戦うステージが上っているからです。

つまり、あきらめてしまったものに使った時間そのものがムダになる可能性が高くなります。

1つのことを上達するには、10,000時間が必要と言われています。

学生とはいえ、10,000時間を確保するのは、至難の業です。

「人生の時間は貴重」ということをお伝えしました。

やりたいことを掛け算で考える(ワーク)

最後に、それまでの話を踏まえて以下の式にもとづいて各個人の「やりたいこと」を考えてもらいました。

プログラマーが必要とされている(機会:ニーズ)自分の得意なこと・好きなこと・性格(強み:シーズ)やりたいこと

生徒からは、以下のアイデアが共有されました。

  • プログラミングラジコンが好き = ドローンの仕事
  • プログラミング 映画が好きボランティアが好き = 新興国に映画配信
  • プログラミングAI楽したい性格プログラミングするAIをつくる

どれも感嘆する素晴らしいアイデアでした。是非とも実現してほしいと思います。

最後に

数日後、生徒たちからお礼のコメントをいただきました。

高校生への講義は初めての経験でしたが、私自身、本質的なことを考える機会となり、日頃得がたい貴重な経験をさせていただきました。

お声がけいただいた 秋川能徳先生、ありがとうございました。

*1:人類文化系の各分野各教科科目に全力でぶつかって勉強して自分を試してみることによって、自分のかけがえのない持ち味がどこにあるのかを見つけるための勉強