ビープラウド社長のブログ

株式会社ビープラウドの社長が、日々の思いなどを綴っていきます。

匠の夏祭り2017〜第1部 イノベーション事例

第1部は、匠Methodによるイノベーション事例です。

it-takumi.connpass.com

食を通じた新たな価値創造・地方活性化へ向けて

登壇者

  • 株式会社セカンドファクトリー 代表取締役 CEO & CVO
  • ブエナピンタ株式会社 代表取締役CEO & CVO
  • 大関 興治(KOJI OZEKI)氏

テーマ

  • IoTプラットフォームによる、生産サイドと消費サイドをつないだビジネスイノベーションの成功事例
  • QOOPa Premium Market、THE NARUTO BASE、地産地食レストラン「FARM to TABLE」

ビジネスモデル

  • 生産サイド(農業、畜産業、水産業、加工業者)には、加工・商品開発の提案・コンサルティング
  • 消費サイド(飲食店、フードコード、ホテル&リゾート、加工業者)商品開発の提案・コンサルティング
  • 幅広い共創プラットフォーム:Stock(デポ)、Kitchen(加工)、Store(販売)、小ロット契約農地

会社、サービス立ち上げ

  • もともと情熱ブルドーザーと言われるほど感性で走る会社だった。それに論理的に可視化される匠Methodを導入
  • セカンドファクトリーというIT企業で地方に行っても「IT企業が何しに来た」と思われるだけなので、新たにブエナピンタという会社をつくった
  • ブエナピンタの立ち上げ企画も匠Methodで。クイックに立ち上がった
  • SI風に進めていたら、やってたら2年位かかるところを、匠Methodを活用し、半年でカットオーバー

匠Method導入以前で起きた問題

  • QOOPa(クーパ)を開発・リリース
  • 飲食業の人にヒアリング→要件定義→開発→賞も取れた→顧客も増えた→行けるのではと思った
  • イノベーションを起こしたはずなのに、収益化できない!
  • 同じジャンルに多くの製品がある→営業力で勝つしかなくなる→別の差別化が必要

  • IT視点でイノベーションを起こそうとしたが結果に結びつかない。

レストランオーナー・そして徳島へ

  • 海の家やレストランオーナーをやってわかったこと

    • 従事者の減少
    • 食材の入手の難しさ
    • オペレーションコストの増加
  • ITだけでは片付けられない課題が結構ある→徳島へ

  • 徳島に行ってわかったこと

    • 生産物が余ってる
  • ICT/IoTを活かせば、解決を同時進行できるのでは

    • ものが売れない
    • 規格外品をどうしたらいいかわからない
    • せっかく作ったものを廃棄しなければならない
    • なにを作ったら売れるのかがわからない
    • 加齢で体がしんどい
    • 後継者がいない
  • 農家の立場・レストランの立場になってCX(カスタマーエクスペリエンス)駆動で考えてみる→匠Methodで企画

FARM TO TABLEで解決すること

  • 産地直送ビジネスモデルだけでは難しい課題を解決する
  • 中小外食からみた場合:シェアードのセントラルキッチン
  • 中小生産者から見たトライアル六次産業化施設

生産地と消費を結びつけるモデル

  • (1)首都圏+食材産地直送モデル

    • 賃金が高くなる
    • 大きな物流拠点が必要になる
  • (2)首都圏+食材産地即加工モデル

    • 調理スキル依存型経営から脱却できる可能性
    • 食材費を下げて、賃金を上げることが出来る
    • 産地の加工は以下の4つで請ける

      • 素材加工
      • 複数素材加工
      • 指定調味加工
      • 完全加工
  • (3)食材産地即加工++ モデル(鳴門方式)

    • 農家の収益拡大(おいしいのに捨てているものを使う)
    • スープストックのような経営スタイル(調理師が店にいない)を中小外食で採用可能
    • ITと加工技術の組み合わせで極小キッチンで高品質なメニュー展開も可能に
    • 都心で、シェフがいらない。冷凍の技術の発展のため
  • 生産技術/ ICT・IOT/ 加工技術/冷凍技術/物流のフル活用

  • 生まれた価値

    • 生産物で捨てるものがなくなった
    • 地元に雇用が生まれた
    • 美味しくなった
  • 同じモデルを鳴門以外の地域にも横展開できる

こたつモデルの効果

  • 匠Method導入以前

    • システム屋としての視点☓飲食店の視点☓生産者としての視点
    • それぞれの視点・気持ちは大事だが、それぞれが分断されていた
  • 匠Method導入以後

    • システム屋、飲食店、生産者がひとつのチームになり、利害一致ポイントを抽出
    • チーミングとファシリーテートで想いが共有された

匠Methodによって生まれた現意識と新意識

  • IoTによる農地管理

    • 現意識:栽培管理のため
    • 新意識:マーケットにトレーサビリティデータとして提供
  • 循環農業

    • 現意識:堆肥を生産に活かす
    • 新意識:マーケットが欲しがっているオーガニック堆肥使用の新ブランド野菜をつくる
  • スマホの使用

    • 現意識:生産者用の専用アプリを自ら開発→使ってもらえなかった
    • 新意識:LINE(チャットボット)をインターフェースにした→70%使ってもらえるようになった

匠Method導入によってできたこと

技術起点イノベーション(当初のQOOPa)を、ユーザー起点イノベーション(QOOPa Premium Market、THE NARUTO BASE、FARM to TABLE)に変えることができた

  • コメント

    技術を元にしたソリューション提供(当初のQOOPa)は、技術起点のアプローチ(=Howからの突き上げ)であり問題ではない。ソリューションのアイデアを顧客・ステークホルダー視点から検証していないことが問題であった。

まとめ

  • 匠Method導入のタイミングは早ければ早いほどよい
  • 導入のキーマンを明確にし、本気で巻き込むチームビルディング
  • 匠Methodを難しく捉えない

    • ビジネスメソッドであって論語のようなものである
  • 大事なのはみんなで匠脳になること  

    • 日頃の生活の中で自然に意識できるように
  • 農家もITも関係ない。つくりたいのは笑顔。笑顔なき価値創造なんてありえない

  • コンセプトの共有に時間をかけろ
  • Break The bias
  • 成果を出したければ「想いを紡げ!」

感想

システム屋視点のソリューションが行き詰まったところから、匠Methodを活用して、農業生産者、飲食業の幅広い視点を獲得して、周りを巻き込みながら、ソリューションを広げていくところに、ビジネスのストーリーを感じました。

「嬉しい」かどうかを感じるだけでなく、その解決策は、ステークホルダーが笑顔になるのか、満面の笑みなのかをイメージしてみると、さらに共感力が増し、その後の巻き込み力が増していくのだと学ぶことが出来ました。

巻き込み力をつけていきたい私には、とても参考になる事例でした。

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匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜

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