ビープラウド社長のブログ

株式会社ビープラウドの社長が、日々の思いなどを綴っていきます。

松下幸之助経営回想録〜第1話 転機に学んだ事

世の中デフレスパイラルである。ある会社が安く売ると他の会社も安売りを始める。それがさらにデフレに拍車をかける。売れないよりましという考えのもとの流血泥試合である。

似たように、昭和12年頃の家電業界でも、あるメーカが執拗に値を切り崩して松下のお得意を取ろうとしたことがあったそうだ(松下幸之助経営回想録 第一話「転機に学んだ事」)。

それがあまりに露骨でいやらしいので、さすがの松下幸之助も腹が立ち、「ひとつ喧嘩してやろう」といきり立った。

松下幸之助は競争する事を決めていたが、加藤大観という相談役のお坊さんに話したところ「競争は面白い。でも反対です」と言う。

理由を聞くと、加藤師は以下のように諭したそうだ。

「そら、あんたひとりなら喧嘩をやってもよろしい。けどあんたには何百人という部下がいる。あんたひとりの腹立ちでソロバンを割ってまで競争して一次の快を得る事ができても、しかしそれは大将のすることやない。大将というもんは部下、社員の事を考えていかねばならん。」

「そない安う売らんでも、ものには出船があれば入船もある。競争して、安いところにお得意をとられる場合もあるかもしらん。けど、またあんたが真面目にやっていることを知って、安うのうても、あんたのものを買ってくれるところが出てくるはずや。それがよのなかというもんや。だから、そんなに血気にはやって出世競争することは、大将としてやることやない」

これで松下幸之助は、カーッとしていたのが冷めてしまったそうだ。このときの話は、その後の松下の経営に生かされたとのこと。

組織で責任をもっているものは一時の感情(特に怒り)でものごとを決めてはいけない。人と仕事で関わっていれば腹が立つ事もあるだろう。しかし、それを自分ひとりの感情で、ものごとの決断を下してはいけない。

また、安易に簡単に値引きするものではない。それは、仕事をする従業員の収入を減らす事と同義だからである。そのためには売れないかも知れないという恐怖に打ち勝つ度胸が経営者には必要である。

これらを身につけた経営者には、自然とその後の道が開けてくるのだろう。それが読み取れる逸話である。

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