ビープラウド社長のブログ

株式会社ビープラウドの社長が、日々の思いなどを綴っていきます。

良いビジョンとは?(匠塾 2017年11月開催まとめ)

2017年11月9日(木)に匠塾*1に参加してきました*2

私は「良いビジョンとは?」というテーマのチーム(通称ヘンタイチーム*3)に参加しました。

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テーマの背景・目的

匠Methodの価値デザインモデルでは、プロジェクトのビジョンを設定します。

「ビジョン」は抽象的な概念で、かつ似たような言葉(ミッション、理念、コンセプト、目標、目的 etc..)も多いため、人によって「ビジョン」という言葉に対するイメージが異なることがあります。

そこで「ビジョン」について、ある一定の指針をもっておくことで、匠Methodのセッションで議論をしやすくすることを目的としました。

よいビジョンとは

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最終的に上記の図にまとまりました。

話のなかで「ビジョンは社会(おおやけ)への視点を持たせることが重要」ということになりました。

そのときは皆納得という雰囲気だったので理由については話しませんでしたが、あとで私なりに理由を考えてみました。

ビジョンに社会への視点を持たせる理由

  • 何らかのサービスや価値を提供し、売上や報酬などの対価が返ってくるのは社会からである。

    → 売上や報酬を得たかったら、対価が返ってくる対象である社会に対する視点をもてば提供する価値を効果的に定めることができる→提供する価値を的確に定められれば、そこへ向けて邁進しやすくなり実現しやすくなる

  • 社会への大義を掲げると、応援者、支援者、仲間などの同志が集まりやすくなり、実現しやすくなる

  • 社会に提供する価値とそれによってもたらされる世界は「なぜそれをするのか?(Why)」への明快な回答になる。人はまず感情をもとに直感的に決断し、そのあとに合理的に納得する。大義をもとにしたWhyは人の感情に訴え、What(製品の機能、スペック)は、合理性に訴える。人はWhatを買うのではなく、Whyを買う。Whyを明快にした製品やサービスは人々から支持を得て購入してもらいやすくなる(参考書籍: WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う

  • 人は社会への大義や大志をもつと、気力が生まれ、行動力が増す。行動力が増した結果、成功する可能性が高まる

「社会のため」という視点をもつのは、青くさい、照れくさいと感じる人もいると思います。自分に大それたことができるのかという謙遜の気持ちもあると思います。また、自分のことで精一杯、社会のことを考える余裕はないという人もいるでしょう。

しかし、社会のためという視点を持つことは、上記の太字に示したように、結果としてサービスや製品を買ってくれる人が多くなるなど、自分たちの成功の可能性を高めることにつながります。

「100%社会のため」と本気で思える人はそれで良いと思いますが、そうではない人は「社会のため」を51「自分のため」49くらいの気持ちを持つくらいのほうが、バランスが良いかもしれません(匠Methodでは「価値のバランス」といいます)*4。社会に目を向けながらも、自分たちのためにもなるように考えられる強かさ(したたかさ)は仕事やビジネスの場面では持ち合わせてもよいでしょう。ただし50%を超えて「自分・自分たち」となると急に鬱陶しく感じられますので注意しましょう。バランスが重要です。

良いビジョンとは(チェックポイント)

上記の図から導き出したビジョンのチェックポイントは以下のとおりです。

  • 社会(おおやけ)に視点があるか?
  • 対象のドメインが明確か?
  • 価値の提供の手段が明確か?
  • 提供した価値によって、ドメインが価値を得る状態になっているか?

*5

参考資料

高崎さんのスライド

上記の図では織田信長を例としていますが、これは匠塾長の高崎さんが以前発表した資料を参考にしました。

価値デザインモデルについてとても分かりやすく説明されてますので、掲載しておきます*6

マインドマップ

上記の図は、当初マインドマップで議論していたものを図にまとめたものです。図に掲載されていない要素がマインドマップにあります。後で役立つかもしれないので、掲載しておきます。

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他チームからの学び

他の3チームは「12月の匠塾LT大会の企画」というテーマに取り組みました。

アイデアがどのようなことをきっかけに広がっていったかという共有が参考になりました。

  • LTで話す人、LTを聞く人というステークホルダー以外にも、運営者やSNSで告知を見ている人(参加者以外)という他のステークホルダーを考えることで、視野が広がった
  • 「嬉しい」が少ないステークホルダーが出てきた時に「せっかくだから全員にとって良いことをしたい」「全員にとって良い状態とは?」と考えたら、頭が切り替わり、アイデアが広がっていった
  • 「全員にとって良い」という切り口のもと「ワールドカフェ形式」というアイデア(How)が出た。そこからアイデアが広がった(Howからの突き上げ)

匠Methodのセッションの序盤ではアイデアがなかなか出ないことはしばしばあります。

それが、あることをきっかけにアイデアが広がっていく瞬間があります。

そのような呼び水となる考え方や問いかけ、アイデアが広がり始めた瞬間の雰囲気を経験しておくことは、実践の場面でとても役立ちます。

自分と社会という2つの視点を持つ

今回の「良いビジョンとは?」というテーマ設定は、匠Business Placeの萩本さん、田中さんと話していたときに生まれました。

萩本さんが「自分への視点、社会への視点という2つの視点を行ったり来たりしながら同時に持つ必要がある」という話をしていたときに、田中さんが「そう考えると"社会人"というのはできた言葉ですね」と言い出したのがきっかけでした。

自分だけに視点があるのではなく、社会に対して視点をもってこそ社会人ですね」などと話しながら、WikiPediaで、社会人を調べたところ、以下のように書かれていました。

社会人(しゃかいじん)は、社会に参加し、その中で自身の役割を担い生きる人のことである。 一般的には学生は除外される。 ただし一部の学生も社会人と呼ばれる場合がある。 日本語以外の諸外国語では日本で言うところの『社会人』をさす言葉はほとんど見られない。 たとえば英語ではworker(労働者)やadult(成人)、citizen(市民)という単語はあるが、日本語の『社会人』にあたる単語・表現はなく、最も近い言語では『participant in civil society』。

なんと「社会人」という言葉は、日本語特有ということでした。

"『社会に目を向けた人=社会人』とは素晴らしいね、日本特有の概念として広げられないか"という話になり、そのようなことは匠Methodの価値デザインモデル のビジョンに記述することだろうということで、今回の匠塾のテーマになりました。

最後に

「人は自分がおもったような人物になる」といわれます。人だけではなく、チームや製品、サービスも掲げたビジョンの方向に知らぬうちに向かっていきます。日々は選択の連続なので、ビジョンの方向に向かうよう選択を繰り返した結果そのようになるのでしょう。

匠Methodを使い、社会への視点を踏まえた魅力的なビジョンを持つ人や製品・サービス=ビジョナリーな人、製品・サービス)が増えれば、それだけ社会も良い方向に変化していくのではないでしょうか。

※匠塾は招待制の勉強会です。匠Methodに興味があり、匠塾に参加してみたい人は、にFBメッセージでお声がけください。

匠Methodについて書かれた書籍はこちら

匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜

匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜

*1:毎月開催されている招待制の匠メソッドを学ぶ会です。株式会社アクティアCOO 高崎健太郎さんを塾長とする有志によって開催されています

*2:会場は前回に引き続き、NTTコムウェアさん(品川)でした。

*3:固定的にテーマを構えるのではなく、議論したいテーマを自由に見つけて、それに応じて態を変えるという意味で「ヘンタイ」。異常という意味の「変態」ではない

*4:社会を51、自分を49なのは、自分が51以上になると知らぬうちに私利私欲に走ってしまう可能性があり、50:50では判断がブレる可能性があるからです

*5:ザ・ビジョン 進むべき道は見えているかという書籍にもチェックポイントが掲載されていたので、参考のために掲載しておきます。

  • そのビジョンは、自分たちの使命をはっきりさせてくれるか
  • そのビジョンは、日々の決断を正しく行なっていくための指針になりうるか
  • そのビジョンは、めざすべき未来を目に見えるような形で描いているか
  • そのビジョンには永続性があるか
  • そのビジョンには、ライバルに勝つというだけではない、何か崇高なものがあるか

    *6:2017年11月12日現在、「価値デザインモデル」で、Google のSEOランキング1位です。

Python初学者への解説ノウハウ(PyQチーム)〜BPStudy#122 その6

2017年10月20日にBPStudy#122〜いかにプログラミングを学ぶか?プログラミング教育を考えるが開催されました。

第1部は「子ども向けプログラミング教育」がテーマ(その1その2その3その4) でした。

第2部は「大人向けプログラミング教育」で、ござ先輩の発表のあとは、Python学習プラットフォームのPyQチーム(@okusama27@hirokiky)に話してもらいました。

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資料は以下です。

PyQチームのサポート

  • サービスは、2017年4月リリース
  • 半年でお問い合わせ 約2000件
  • 技術解説系の質問は3割(=約210件)

質問の種類

ちゃんと書いたのに動かない系
  • 原因:写経ミス
  • 書いてあるとおりに写したけど、動きません
解説や詳細説明が必要系
  • 原因:内容が理解できていない
  • 〜ってなんですか?どうしてもここ意味わかりません

対応ノウハウ

ちゃんと書いたのに動かない系の対応

→ 答えを教える

ちゃんと書いたのに動かない系の対応

順序立てて考えてもらう(いきなり答えを教えない)

  • 1回目:場所を指定して考えてもらう
  • 2回目:処理を細かく解説。なるべく図を使ってわかりやすく(例:しきい値の説明)

よくあるハマりポイント

繰り返し処理(ループ)、集計
  • ループ:1つ1つループを紐解いて解説する
  • 1周目は変数a=10、2周目は変数a=20、3周目は変数a=30
  • Python Tutorで出力すると分かりやすい
全体的に
  • エラーが出ている場合は、エラーの解説をする
  • なぜ、動いていないのかを解説する(原因箇所を修正するだけではなく)
  • よくある質問はPyQブログのPythonお悩み解決で紹介中

まとめ(私の感想)

PyQチームは日頃からエンジニアがユーザーサポートを担当しています。

自分がつくっているサービスの問合せや質問をダイレクトに伺い、Pythonの初学者がつまづくポイントや、初学者への分かりやすい解説についての学びを得て、サービスに反映できていると思います。

ユーザーからの声としては、分からない・分かりにくいというもの以外にも「理解できた!」という喜びの声もあり、そのような声もサービスの向上につながります。

今回の発表は、サポートから得た学びをとりまとめたものであり、ユーザーからの声を得て、チームは着実に進歩しています。

PyQチームありがとうございました!

ござ先輩の異常なプログラミング教育についてCoderDojo〜BPStudy#122 その5

2017年10月20日にBPStudy#122〜いかにプログラミングを学ぶか?プログラミング教育を考えるが開催されました。

第1部は「子ども向けプログラミング教育」がテーマ(その1その2その3その4) でした。

第2部は「大人向けプログラミング教育」で、クオリティスタート社ござ先輩と、Python学習プラットフォームのPyQチームに話してもらいました。

ござ先輩は今年の4月から企業のプログラミング初学者向けに研修を実施されていて、そこでの経験からお話いただきました。

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資料は以下です。

気づいたらスライドのはてなブックマークが340を超えていてバズっていました(2017年11月13日現在)。さすがですね。

事業としてプログラミング研修を始めた経緯

  • 他社の新人向けプログラミング研修の学習効果が芳しくないという相談を知人から受けた
  • 独習Python入門――1日でプログラミングに強くなる! を2016年8月に出版していた
  • 教えることは得意だが、自分としてはあまり好きではないこと

    • 会社の事業戦略として、(本塁打でいきなり得点を狙いに行くのではなく)まずは得意なことで塁に出ることを考え、引き受けることにした

研修にどのプログラミング言語を使うか

  • Javaはプログラミングの入門に不向き

    • オブジェクト指向が前提(オブジェクト指向が使える人のための言語)
    • 環境構築が面倒(コンパイルの理解が必要)
    • 重たい概念が多い(プリミティブ、オブジェクト、クラスローダー、ヒープ、スタックなど)
  • Pythonは入門向けに向いている

    • 型宣言が不要で、記号が少ない。そのぶん可読性が問われる言語なのでコードの意味を考えるのにプラス
    • Webアプリの構築が簡単(Javaに比べて)

      Webアプリは言語の文法や設計思想よりもまずは動かして学ぶことのほうが重要

    • Pythonは海外では人気

プログラミングの学習ハードルが高い理由

  • 抽象的概念(変数、制御構造、データ構造、関数、オブジェクト、クラスなど)と、具体的概念(プログラムコード)の行間が広い。
  • 行間の広さを独習で埋めるのは難しい

プログラミング学習のハードル

その1:繰り返し
  • なんども繰り返すことが、コードから読み取れない(5回出力したいなら、5回printを書けばよいのでは。。と考えてしまう)
  • while文はfor文より難しい
  • ズンドコきよし

    • whileで実装できれば繰り返しが腑に落ちる人が多い

qiita.com

その2:データ構造
  • 連想配列と配列の区別あたりから理解が怪しくなる
  • 手書きで書いてもらうとイメージが喚起されて効果が高い(写経では埋められないところ)
その3:オブジェクト指向
  • オブジェクト指向に寄り添うメリットが伝わらない
  • クラスを使う意味など
その4:行き過ぎた抽象化
  • ライブラリの便利さが伝わらない
  • WTFormは中身で実行されていることを知っている人にとってはとても便利。知らない人にとっては「ふーん」「あたりまえ」

どうやって思考を整理するのか

  • どういった処理を、どの順番で実行するか
  • どうやって自分の考えを表現してよいか分からない(「いきなりプログラムを書くのは戻りが多く良くない」というのは理解している)
  • 箇条書きだと抽象度が高すぎる、フローチャートだと粒度が細かすぎる
機能を作る時に考えていること
  • 検索処理の場合

    検索項目を取得→検索条件を組み立てる→検索を実行する(検索結果により処理が分岐)

  • ゴルフのアプローチに近い感覚

    • バックキャスティングの習慣を持たせる

プログラミングの学習曲線

  • 粘り強く時間をかけて学び、覚醒することでいきなり実力がグンと伸びるのがプログラミング学習

まとめ(私の感想)

プログラミング初学者のハードルとなるポイントを的確にまとめていただきました。

ござ先輩の対面研修での経験からお話いただきましたが、オンラインでPythonを学ぶPyQにも組み込めそうなアイデアをもらうことができました。

このアイデアをもとに、プログラミング初学者のハードルを超えやすいようなコンテンツや仕掛けをPyQに入れていければとおもいます。

そして「プログラミングの学習曲線」は私も体験し、以下のような感じで相当苦しみました(もともと要領が良くないほうというのもあり)。

  • 「この少しのことをするのに、なぜこんなに色々書かなくてはいけないのか?めんどくさい。自分には向かないのかも」と感じた
  • いろいろな概念や要素があり、それらをどこでどう使うのか分からない
  • なぜさまざまな技術があるのか分からない。プログラミング言語が複数あったり、データベースの種類がいくつもある意味もよくわからなかった
  • 小難しそうな概念をすべて理解しきれない。理解しきれてないから不安になる
  • 書いたコードは動いた。しかし苦労していろいろ修正した結果、読みにくいコードになっている

ござ先輩の話を聞き、PyQの参考になるヒントも得られ、過去の自分も振り返ることができ、有意義な発表でした。

ござ先輩ありがとうございました!

プログラミング教育をテーマに開催したBPStudy#122。おおとりは、PyQチームの発表です。

子供と親が一緒に楽しみながらプログラミングを学ぶCoderDojo〜BPStudy#122 その4

2017年10月20日にBPStudy#122〜いかにプログラミングを学ぶか?プログラミング教育を考えるが開催されました。

第1部は「子ども向けプログラミング教育」がテーマです。

CoderDojoの代表の方々4人にご登壇いただきました。

1番安川さんが塁に出て、2番打者向井アリーさんがヒットエンドランを決め、3番宮島さんがタイムリーヒットを打ちました。おおとりは4番打者の Coder Dojo 市川 代表の土屋健一さんです。

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資料は以下です。

プログラミングを学んだ経緯

  • 少年時代、JR-200を買ってもらったが、ゲーム数が少ない
  • BASIC Magazine ひたすら写経してゲームする

    • プログラムを少しずつ把握し、動きを変えていく
    • いつの時代も写経→改造の訓練は大切
  • アイルランドは貧富の差が大きいので、無料にこだわっている

千葉県のCoderDojo

  • 千葉には12,13の道場があり、イベントで連携したりしている
  • 千葉の高校生をロボットの世界大会に送り込もうというクラウドファンディングの取り組みがある

CoderDojo市川のスタイル

  • 作成した人たちの発表タイム
  • 基本は自分で考えて作る
  • 子どもが本を開いて自分で調べて、わからないところは大人に聞きながら集中して作る
  • もくもく会の雰囲気

チュートリアル

  • Scrachで「猫から逃げろ!」ゲームの作成
  • 猫が動き回る頃からテンションがあがり、完成の頃はテンションMAX
  • そのあとはスピード変えたり、猫の数を増やしたりいろいろ変更してみる

なぜCoderDojo市川をやろうとおもったか

  • 当初会社の教育事業としてやろうと思ったが、いまいち心たぎらない
  • 儲からないのに大変。何でやってるのか
  • 子どもも大人も学べるコミュニティづくりに振り切ってから心たぎるようになった

CoderDojo運営の悩みあるある

  • モノ:自体体のリッチ度によって施設はまちまち、PCの持ち運び、保管場所、備品を融通
  • ヒト:プログラミング以外のことも必要。近隣メンター、コワーキングつながり、学生
  • カネ:開催時寄付、サポーター協賛金(なかなか厳しい)

嬉しいこと

  • 近隣のひとが駐車場貸してくれる
  • スーパーで子どもが「またいくね」と声かけてくれたり
  • Ninja(子ども)の成長を実感
  • 子どもを教えたいという希望をもっていたひとの夢が叶った

企業とコミュニティの違い

  • 企業:JOINする前にじっくり考える
  • コミュニティ:JOINしてから考える

運営で気をつけていること

  • ミニマムでできることを考える(1人で回せるイベント運営を心がける)
  • 共感できる価値を持つ

まとめ(私の感想)

土屋さんのお話からは、試行錯誤しながら、コミュニティを回している様子が伝わってきました。

一番印象的だったのは「ミニマムでできることを考える(1人で回せるイベント運営を心がける)」です。

コミュニティを運営し始めると、モチベーションの高い人ほど「やれることは何でもやろう」となるのは人の性です。

しかし、そこでやり過ぎてしまうとあとで続かなくなってしまいます。

特にコミュニティは仕事に直結する活動ではありませんので、後回しにする理由はいくらでも生まれてきます。

「続けることが目的になってはいけない」と土屋さんはおっしゃいます。

しかし子どもが安価で(参加費無料を推奨)プログラミングを学べるCoderDojoは、続けているだけでも社会的な価値が高い場ではないでしょうか。

CoderDojoにかぎらず、コミュニティを主催者、参加者にとって価値のある場にし続けるには「ミニマムでできることは何か?」を常に自問し、少ない活動コストで大きな価値を創り出す運営姿勢に徹することが秘訣と感じました。

土屋さん、ありがとうございました!

第2部は大人向けプログラミング教育です。→その5へ

子供と親が一緒に楽しみながらプログラミングを学ぶCoderDojo〜BPStudy#122 その3

2017年10月20日にBPStudy#122〜いかにプログラミングを学ぶか?プログラミング教育を考えるが開催されました。

第1部は「子ども向けプログラミング教育」がテーマです。

CoderDojoの代表の方々4人にご登壇いただきました。

1番安川さんが塁に出て、2番打者向井アリーさんがヒットエンドランを決めました

3番打者はCoderDojo 柏 代表の宮島衣瑛さんです。

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資料は以下です。

CoderDojo Kashiwa

  • 2013年5月に当時高校1年生の宮島さんが設立(宮島さんは現在は大学2年生)
  • 20名の定員が30分で埋まるほどの人気
  • 高校生、大学生など学生主体で運営している

    • 小学校、中学生、高校生、大学生、大人が同じ場所にいる
    • 世代の違うひとたちが、同じ環境で学び合えるのがCoder Dojoの魅力
  • Special Presentation Day

    • 子どものための作品発表会(1年間のまとめとして)
    • 今年は12/23に開催
  • 開催の様子の動画

  • 小学生からやってる子は中学生も教える側に回っている子もいる
  • CoderDojo 柏は女の子も多い
  • ミッション

    • 市内のどこにいても、プログラミングを学べる場所を提供する
    • そのミッションの実現のために、柏市内に4箇所つくった(柏、柏の葉、南柏、沼南)。それぞれは独立して運営されている
    • 週末は大体どこかで開催されている
    • 同じエリアでは隣の市の流山も含めると5道場。(まだまだ広げられる)

柏市との連携

  • 柏市のプログラミング教育

    • 2017年4月から、市内42校全ての小学校でプログラミングを用いた学習をスタート
    • 目的

      • 知識・技能の習得
      • 思考力、判断力、表現力の育成
      • 学びに向かう力・人間性の涵養
    • 4年生・総合的な学習の時間☓2H

    • ミニゲーム(ねこあるき)を題材にプログラミング全体を捉える+構造を捉えて分解する
    • Scratchを使っている(文部科学省のプログラミン ではなく)
  • 教育委員会との連携

    • カリキュラム案の検討、研修を手伝う
    • CoderDojo Kashiwa主催のイベントに教育委員会が協力する(ScrachDay in Kashiwa 2017など)
    • かしわプログラミングフェスタ
    • 学校はあくまで入門で、Dojoで深める
    • Dojoが持っているノウハウを提供

2020年に学習指導要領が変わる

  • 社会に開かれた教育課程の実現(社会のリソースを活用しようという方向に変わる)
  • 社会のリソース活用という意味で、柏市は地域におけるプログラミング教育の最先端事例

子どもたちが取り組んでいることの事例

  • 小学校4年生がMinecraftをScratchでつくろうとしている!
  • リアルにつくってくる。Pythonとマインクラフトの本を持ってきて教えてくれと来た
  • 大人全部はわからないので子どもたちがやりたいことを受け止めて、一緒に学びながら教えていく

まとめ(私の感想)

宮島さんには、Coder Dojo 柏の活動と、行政機関(柏市)との取り組みについてお話いただきました。

Coder Dojo 柏は、柏市にプログラミングの教材を提案したり、教員に研修したりと行政機関と連携して、子どもがプログラミングを学べる環境づくりを進めています。

2020年に学習指導要領が変わり、Coder Dojo 柏のような外部とも連携して教育が進んでいくとのこと。

Coder Dojoのプログラミング教育における影響力は大きくなっていくでしょう。

これからの活動がますます楽しみです。

宮島さん、ありがとうございました。

3番宮島さんのタイムリーヒットが飛び出したところで、なお無死1,2塁。4番打者は、CoderDojo市川代表の土屋健一さんです。→その4へ

子供と親が一緒に楽しみながらプログラミングを学ぶCoderDojo〜BPStudy#122 その2

2017年10月20日にBPStudy#122〜いかにプログラミングを学ぶか?プログラミング教育を考えるが開催されました。

第1部は「子ども向けプログラミング教育」がテーマです。

CoderDojoの代表の方々4人にご登壇いただきました。

1番安川さんが塁に出て、2番打者はCoderDojo 藤沢 代表の向井アリーさんです。

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資料は以下です。

プログラミングは学びでもあり、遊びでもある

  • CoderDojoは1つのコミュニティ
  • プログラミングは遊びと学びどちらか? 学びでもあり、遊びでもある「マソビ!」

    2017年「ゲームばっかりしてないで勉強しなさい」→2020年「勉強ばっかりしてないでゲーム作りなさい

  • プログラミングの3つの楽しい要素

    • コンピュータに対して命令して思い通りに動かす感動
    • 問題を自分で解いた時の気持ちよさ
    • 他の人にシェアしたり、見てもらえる楽しさ

親がそばにいない方がうまく行く!

  • 親が「べったり怪獣」の場合に起きること

    • 先生の言われたとおりにやりなさい!本と違う!周りの人と違う!みんなより遅れてる!それは違う!
    • 最後は子どものマウスを奪う

道場は切磋琢磨の稽古場

  • 作りたいものを作る→発表する→拍手を持って嬉しい→もっとすごいものを作りたくなるのループ
  • 子どもの自分の世界が広がる

    • 参加していた子どもが自分でプログラミングサークルを立ち上げる
    • DojoCon Japan2017 プログラミングコンテスト最優秀賞受賞者→海外のコンテストに参加
  • 大人顔負けのプログラムをつくる子どもたち

    • Scratchでフィボナッチ数列とトリボナッチ数列を使うプログラム
    • Sinatoraでwebアプリ制作
    • Processingで図形を動かす
    • MinecraftのRedstone Timer
    • 数字を入れるとひたすら割って素数を検出するプログラム

最新プログラミング学習ツール

まとめ(わたしの感想)

印象的だったのは「親が子どもの邪魔してはいけない(べったり怪獣)」というところです。

「親」という字は『木の上に立って見る』と書きます(金八先生より)。

心配しながらもべったりくっつかず、遠くから見ているくらいが良いのかもしれません。

さまざまな子ども向けプログラミング学習ツールもご紹介いただき、その種類の多さに驚きました(私はScratchとRASPBERRY PIしか知りませんでした)。

CoderDojo藤沢の活気と暖かさが伝わってくる発表でした。

向井アリーさん、ありがとうございました。

2番向井アリーさんのヒットエンドランが決まり、無死1,3塁。3番打者は、CoderDojo柏代表の宮島衣瑛さんです。→その3へ

子供と親が一緒に楽しみながらプログラミングを学ぶCoderDojo〜BPStudy#122 その1

2017年10月20日にBPStudy#122〜いかにプログラミングを学ぶか?プログラミング教育を考えるが開催されました。

第1部は「子ども向けプログラミング教育」がテーマです。

CoderDojoの代表の方々4人にご登壇いただきました*1

1番打者はCoderDojo Japan 代表の安川さんです。

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資料は以下です。

日本での始まり

コンセプト

  • 子ども☓技術☓非営利
  • 一緒に学ぶ、一緒に考える
  • 「やってみた」を共有する
  • 大人も楽しむ、子どもと競う
  • 技術を楽しむコミュニティ

全国での広がり

  • 2016年3月:25箇所→10月:60箇所→2017年3月に75箇所→10月に106箇所
  • 世界では75か国、1400道場

日本法人設立

  • 2016年に公式の日本法人を設立
  • 世界と連携しながら進める
  • CoderDojo憲章を中心にしたコミュニティ

    活動の決定権をそれぞれのDojoが持つことができる

企業からの支援

どのように広がってきたか

  • CoderDojo Tokyo
  • 定期的な開催:下北沢だけで250回以上開催
  • 道場に来た人が何か気づきを得て次の道場に繋がる

DojoCon

  • DojoCon JAPAN 2016を開催

    • 200〜300人規模のカンファレンス
    • 運営者パネルディスカッション
    • 全国に仲間・友達を見つける(作品発表・コンテストなども同時開催)
  • DojoCon JAPAN 2017 が11/4に開催される

なぜ続けるのか?

  • 参加する理由

    Google先生に学び、ドットインストールで学び、CoderDojoで学んでWebサービスをつくった小学生

  • 手伝う理由

    • 大学生:学ぶことに対するモチベーションが上がるから
  • 始める理由

    • 岡山南、中学一年生が近辺に道場が無いから設立しようと思って設立

まとめ(わたしの感想)

CoderDojoは海外で始まったそうですが、名前には日本語の「Dojo(道場)」が採用されました。

日本では2012年に下北沢で始まったCoderDojo。

5年間であっという間に100箇所で開催されるまでになり、さらに広がる勢いです。

頻繁に開催され、全国に広がっているのは、CoderDojoの取り組みが子どものパワーを引き出し、大人がそれに刺激を受けてのものかなと思いました。

活動の充実度、広がりは「コミュニティのお手本」といえるでしょう。

安川さん、ありがとうございました!

1番安川さんが塁に出て、2番打者はCoderDojo藤沢代表の向井アリーさんです。→ その2へ

*1:4人揃ったら「燃えよドラゴンズ」か「大友中カルテット」ですね。