ビープラウド社長のブログ

株式会社ビープラウドの社長が、日々の思いなどを綴っていきます。

匠Methodの良さを伝えて普及するには?(匠塾 2017年10月開催まとめ)

2017年10月12日(木)に匠塾*1に参加してきました*2

私は「匠Methodの良さを伝えて普及するには?」というテーマのチーム(通称ヘンタイチーム*3)に参加しました。

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ゲームで楽しみながら学ぶ

チームでいろいろ話した結果、ボードゲームをつくると良さそうという方向に話が向かいました。

ゲームの内容について、以下のようなアイデアが出ました。

  • 人生ゲームのようなイメージ
  • ゲームをプレイしているうちに、価値から考える習慣がつく
  • シナリオが複数あり、その中でロールが設定できる
  • ゲームマスター(ファシリテーター)が1人いる

価値デザインモデルもつくりました。

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ゲーム化により押しつけがましくなく、匠Methodのプロセスや考え方を楽しみながら自然に学べることが期待できます。ゲーミフィケーション*4を教育に活用する事例の1つではないでしょうか。

アイデアの導線

アイデアを考えるにあたり、以下の3つのゲームが参考になりました。

Not My Fault

エンジニアがPMに「オンスケです」とウソをつき続けるカードゲーム。

Not My Fault! ~俺のせいじゃない!~

Not My Fault! ~俺のせいじゃない!~

紹介記事:「進捗ヤバいプロジェクトに直面した経験がある人なら(多分)楽しめるカードゲーム「Not My Fault!」」

Fat Project

デスマーチとならないように注意しながら,クライアントの興味をひくようなITプロジェクトの要件を決めるカードゲーム。

紹介記事:「デスマーチを回避するITプロジェクトの要件定義ゲーム「Fat Project」がヴィレッジヴァンガード通販で発売。ブラックジャック風アナログゲーム」

「クラウド活用」「モノのインターネット」「人工知能」など、流行りの言葉や「過労死」「サポート切れ」「20万人月」などのつらいワードのカードが目をひきます。

7つの習慣

書籍「7つの習慣」を学べるボードゲーム。

7つの習慣 ボードゲーム ?成功の鍵?

7つの習慣 ボードゲーム ?成功の鍵?

公式サイト

Google Home、Amazon Echoを使ったソリューションを考える

他の3チームは「Google Home*5、Amazon Echo*6を使って何かやろう」とPepperに飽きた社長から鶴の一声でソリューションを考えるという設定でした。

今回は、Google Home、Amazon Echoというソリューションありき、つまり「Howからの突き上げ」*7(要求開発の用語では「戦略のリバース*8」も近いアプローチです)によるプロジェクトです。

各チームの気づき

各チームの振り返り発表や、懇親会でうまれたトピックをまとめておきます。

  • 方向性が決まるまでのファシリテーター

    さまざまなアイデアが出る中で、広がりそうなアイデアが出てくるまで、会話をウォッチしながら探る。広がりそうなアイデアが出てきたら、そこに食いつき深掘りする。「システムのデーモン*9のようですね」と高崎さんと懇親会で話していました。daemon*10はギリシャ神話に「守護神」で、ファシリテーターを「場の守護神」と考えると、イメージ通りではないでしょうか。

  • ファシリテーターの存在感がなくなるチーム

    ある盛り上がったチームに対して「ファシリテーターは誰だったんですか?」という質問がありました。「誰だっけ?いなかった!?」ということでしたが、実際は石田さんがファシリテーターだったようです。私も「ファシリテーター無色透明がよい*11」ということを良くいうのですが、本当に盛り上がるチームのファシリテーターは存在感がなくなるのかもしれません。

    また、先日「グラフィック・ファシリテーション」という手法について、オージス総研の赤坂英彦さんに話をうかがいました。

    グラフィック・ファシリテーションでは、はじめにファシリテーターが話の流れを絵に描き、そのあとはチームのメンバーがその絵を理想的なものに変え、ファシリテーターは何もせず場に任せるそうです。

    ファシリテーターの存在感がなくなる(いない)ということは、グラフィック・ファシリテーションのファシリテートに近いのかもしれません。

  • 該当のモデルを特定せず話しあう

    匠Methodの価値デザインモデルをやろう、価値分析モデルをやろうということではなく、盛り上がって話した内容をモデルに配置していったら自然に2つのモデルが出来上がったそうです。

    このチームは70分という時間の中で、2つのモデルを完成に近いレベルまでつくっていましたが、この方法は2つのモデル(価値分析モデル、価値デザインモデル)を別々につくるよりもスピードが上がりそうです。

最後に

今回はチームの課題が「匠Methodの良さを伝えて普及するには?」だったので、マーケティングの話になるかなと予想して参加したのですが「ゲームをつくる」という思ってもみなかった方向に話が進みました。

このように、匠塾ではチームで課題に取り組むので、人と話しているうちに思ってもみなかったような知識や学びが得られます

プロジェクトでは、チームでアイデアを話し合い、合意形成し、進めていく場面が多々あると思います。

そのような場面で、思うがままにブレストをするよりも匠Methodを用いて進めたほうが、何倍も速くチームメンバーが納得のいく合意形成につながります

匠塾は、そのような場を疑似体験できます。ときには話がうまく進まない場面にもなりますが、その雰囲気を疑似体験しておくと、実践では落ち着いて対応することができます。

チームの合意形成に課題をもっている方は、参加してみてはいかがでしょうか。

※匠塾は招待制の勉強会です。匠Methodに興味があり、匠塾に参加してみたい人は、にFBメッセージでお声がけください。

匠Methodについて書かれた書籍はこちら

匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜

匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜

*1:毎月開催されている招待制の匠メソッドを学ぶ会です。株式会社アクティアCOO 高崎健太郎さんを塾長とする有志によって開催されています

*2:会場は前回に引き続き、NTTコムウェアさん(品川)でした。

*3:固定的にテーマを構えるのではなく、議論したいテーマを自由に見つけて、それに応じて態を変えるという意味で「ヘンタイ」。異常という意味の「変態」ではない

*4:課題の解決や顧客ロイヤリティの向上に、ゲームデザインの技術やメカニズムを利用する活動全般

*5:グーグルホームはユーザーがボイスコマンドを喋ることで搭載されている「Googleアシスタント」を通じてサービスを起動させる事ができる。グーグル社製とサードパーティー製の両方の多数のサービスが統合されており、ユーザーが音楽を聴いたり、ビデオや写真を見たり、声で最新ニュースを受け取ることが出来る。グーグルホームはホームオートメーション機能を備えており、ユーザーのボイスコマンドでスマートホーム家電を操作することが出来る。複数の部屋に置かれたグーグルホームの音楽の同期再生が可能であり、2017年4月のアップデートで最大6人のユーザーの声を識別可能な複数ユーザーサポート機能が追加された。WikiPediaより

*6:エコーは音声コントロールのAIアシスタントのAlexa(アレクサ)に接続しており、名前のアレクサで反応する。「起動ワード」はユーザーによって「アマゾン」、「エコー」、「コンピューター」に変更可能である 。エコーは音声交流や音楽のプレイバック、to-doリストの作成、アラームの設定、ポッドキャストのストリーミング、オーディオブックの再生と天気や交通情報、リアルタイム情報などの提供ができる。また、エコー自体をホームオートメーションハブとして使用し複数のスマートデバイスを操作可能である。WikiPadiaより

*7:技術、ソリューションありきで、要求を創り出す、イノベーションを産み出す考えかた

*8:戦略からスタートして課題レベル、実行レベルに落とし込むのではなく、はじめに課題ありきでスタートしたプロジェクトにおいて、その課題の解決が企業戦略のどれに該当するのかを逆に辿るプロセス-「ユーザーの役に立つシステムを作る 本当に使える要求定義[改訂版](日経BP Next ICT選書)」P.31より

*9:UNIXなどのマルチタスクオペレーティングシステム (OS) においてバックグラウンドプロセスとして動作するプログラム

*10:dameon(守護神)とはギリシャ神話に登場し、神々が煩わされたくないと考えた雑事を処理した存在。WikiPediaより

*11:私は「ファシリテーターは意見を言ってはいけない」いうと意味でこの言葉を使っています。ファシリテーターが意見を言い、メンバーの意見の振り分けをすると、場をコントロールしてしまい、言っても聞いてくれないというような雰囲気が生まれ、メンバーのモチベーションも下がり、新しい発想がでてこなくなるためです。

今データサイエンスが必要とされる理由とPythonの役割〜BPStudy#121 その2

2017年9月26日にBPStudy#121が開催されました。

第2部は、辻慎吾さんにお話いただきました(※第1部はこちら)。

資料はこちら(PDFファイル)です。

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以下は私のまとめです。

データサイエンスについて

データサイエンスとは

WikiPadiaによると、"data-driven science"(データ駆動型サイエンス)である。

サイエンスとは
  • (1)仮説を立てる
  • (2)仮説を証明するために実験や観測によってデータを収集
  • (3)データを解析して仮説を検証

(1)〜(3)を繰り返し、普遍的な原理を導き出す

  • 例1:フックの法則(F=-kx)
  • 例2:DNA配列
データサイエンスでは、とにかくビッグデータを集めることが重要
  • ヒッグス粒子の発見(Pythonを使用)
  • Webのユーザーの行動履歴
  • IoT(地理情報を含む行動履歴、エネルギー消費量など)
データサイエンスの必要性

データから普遍的な何かを導き出すこと

Pythonとデータサイエンス

  • データサイエンスの実際(プロセス)は、さまざまなこと実施する

    • データの収集と前処理
    • 統計解析
    • 後処理と次の計画 
  • さまざまなことを実施する必要があるので、各プロセス共通で汎用言語Pythonでデータサイエンスを実践できる価値は大きい

Pythonの急成長
データサイエンスで使うツール、言語のPython以外の選択肢
  • SAS
  • Mathematica
  • Matlab
  • R

※Pythonが唯一、オープンかつ汎用

Pythonはglue(のり)言語

scikit-learn、matplotlib、NumPy、seaborn、jupyternotebook、SciPy.org、pandasなど、Pythonを中心にして、オープンなエコシステムがある。

良いものをどんどん取り入れ進化が加速している。

Anacondaがおすすめ

Continuum Analytics社が配布するPythonパッケージ

RとPythonの比較
  • Google Trends でも、「Python data science」と「R data science」では、Pythonの方が上。(Rもdata scienceで中心的な存在)
  • それぞれの特技はある。Rは統計に強い。マニアックな統計関数が用意されている(Hosmer-Lemeshow検定など)

サイエンスと再現性

  • 2006年、Nature Medicine誌に掲載された論文

    • 辻さんは、教授に論文の再現を命じられた
  • 複雑な計算方法の詳細がかかれていない、業界の常識的な方法論で試す→再現しない

  • そのうち、世界中の研究者が疑い始めた
  • 完全なデタラメだった
サイエンスには再現性が重要

解析を完全に再現するには、オープンな基盤が必要→Pythonはオープンな基盤→再現しやすい

  • 「オープンサイエンス」という動きもある

データサイエンスで、なにがどこまでできるのか?

データだけで、普遍的な原理や知識を導き出せないことも多い。

  • 自然言語処理

    • 恋愛の相談→意味を漠然と捉えることはできた。が、しかし、漠然と捉えられただけであり有用かは分からない
  • 多様体仮説(学習)  

    • 計算してデータを加工するのは計算機、推測するのは人間

まとめ(私の感想)

辻さんには、データサイエンティストの立場から「なぜデータサイエンスでPythonなのか?」を説明いただき、その理由を知ることができました。

  • データサイエンスでは、データの収集と前処理、統計解析、後処理など、さまざまな作業を実施する必要がある。これらを共通の言語でできる価値は高い
  • サイエンスでは再現性が重要。Pythonはオープンなので再現環境をつくりやすい
  • データサイエンスのジャンルで、Pythonを中心として、オープンなエコシステムができている。良いものを次々と取り入れ進化が加速している

私も「なぜ、Pythonなのか?」を説明する場面がありますが、上記の理由を使わせてもらえればと思います。

辻さん、ありがとうございました!

If文から機械学習への道〜BPStudy#121 その1

2017年9月26日にBPStudy#121が開催されました。

第1部は、サイボウズ・ラボの西尾泰和さん*1にお話いただきました。

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資料は以下です。

if文から機械学習へ

  • 機械学習は、日頃のプログラミングから遠く感じるが、実は身近なif文と地続きでつながっている
要約
  • if文は、重み付き和*2で表現できる。
  • 重み付き和の重みを人間が決定するのがルールベース。コンピューター(機械)がデータをもとに決定するのが機械学習
あらためてまとめ

スライドだけでも充分に理解できると思いますが、分かった気にならないように自分でまとめてみました。

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  • (1)if文のシンプルな OR文とAND文
  • (2)−1:複雑な条件を、if文で表現→And と Orが組み合わさって複雑
  • (2)−2:真偽値を数値に変換して加算。数式で表現→複雑な条件もシンプルに表現できる

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  • (3)And 条件、Or条件、組み合わせ条件の右辺を1で揃え、左辺に係数をつける→重み付き和の表現になる

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  • (4)複雑な条件を考えてみる→条件ごとに重みが異なる

    • 重みを人間が決める=ルールベース
    • 重みをコンピューター(機械)が決める=機械学習

オンラインPython学習プラットフォームのPyQでは、西尾さん監修のもと、if文からはじめて機械学習を使うまでの流れを、具体的な事例で学べるコンテンツを用意しています。

pyq.jp

顧客価値と手法の関係

  • Q.以下の2つはどちらが顧客価値が高いか?

    • 加工速度を2倍にする装置(顧客の利益を1万円増やす)
    • 精度60%の識別器(顧客の利益を4万円増やす)
  • A.精度60%の識別器が4倍顧客価値が高い

    • 精度は必ずしも重要ではない
    • 顧客価値がどれくらい生まれるかが重要
    • 顧客が何を求めていて、どのような制約条件があるか
  • (例)最新論文に書かれた手法を実装

    • (制約条件)手法が要求する量のデータを顧客が用意できない
    • その最新手法の実装は、顧客価値を持たない

機械学習の使いどころ

  • リーンスタートアップのMVP(Minimum Viable Product)の考え方で必要最小限の実装を考える
  • ステップ1:コンシュルジュ型MVP(実装しない)

    • 人間が仕事(サービス)を担当する
    • 人間が担当しているが、時間や労力がかかっている→機械化で顧客価値が増えるチャンス
    • 顧客は出来ているが、自分はやり方がわからない=情報の伝達漏れ
    • 顧客も自分もやり方がわからない=ムリなことをやろうとしている可能性
  • ステップ2:人間を箱に入れて考える。

    • 箱には電子データしか入力できない。出力も電子データ
    • 顧客から入力データを得る方法、出力データを与える方法を考える(制約条件になる)
    • 出力から顧客価値を生む方法を考える
    • アルバイトに任せるとして、マニュアル(人間が考えたルール)を書いてみる
  • ステップ3:箱の中をコンピューター(機械)に置き換える

    • ステップ2で考えたルールをプログラミングする
    • 実行して顧客が満足するか
    • 満足しないなら、具体的不満を収集する
    • 入力に対する出力の要望=教師データ
  • ステップ4:機械学習の導入

    • 教師データを使って機械学習
    • 教師データが充実すると、アルゴリズムの良し悪しが定量的に測れるようになる
    • ステップ3より精度が良いとは限らないので、PDCAサイクルを回し改善する
    • 正しく分類できていないデータを眺め対策を考える(特徴量の追加など)
    • 「判断の自信」を返してくれるアルゴリズム(ロジスティック回帰など)の場合、「自信のない結果」をみて教師データの追加(能動学習)

最後に(私のまとめ)

近年、AI、そのベース技術となる機械学習の手法が世の中で活用され始めました。

その流れからか「AIを使って何かできないか」という要望が経営サイドからあがり、経営課題に対していきなり機械学習を使い始めてしまうということもあるようです。

課題に対して機械学習をいきなり適用した場合、オーバースペックになりコスト高になってしまうことも多々あります。

オーバースペックにならないためには、以下の2つの見極めが必要です。

  • ルールベースのプログラムでもできること
  • 機械学習で楽にできること(ルールベースでは複雑で難しい)

これを見極めるための理解として、西尾さんは以下のことを説明してくれました。

  • if文から機械学習は地続きで考えられること
  • 顧客価値と手法の関係
  • 機械学習の使いどころ

AI・機械学習を活用したい人は、これらを理解することで費用対効果に優れたソリューションをつくりだすことができるでしょう。

西尾さん、ありがとうございました!

*1:スライドの表紙にもありますが、2017年6月からビープラウドの機械学習系の技術顧問に就任していただいています

*2:係数をかけてつくられる和のことであり,加重和や線形和などともよばれる.例えば,数列(データに相当)x1,…,xnの各要素にそれぞれ係数(回帰係数に相当)w1,…,wnをかけて重み付き和がw1x1+…+wn xnとつくられる.引用元:実験医学online

匠Methodと3つの方法論のおいしい関係(匠塾 2017年9月開催まとめ)

2017年9月14日(木)に匠塾*1に参加してきました*2

私は「匠Methodと他の方法論」というテーマのチーム(通称ヘンタイチーム*3)に参加しました。

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匠Method以外の方法論

匠Method以外の方法論として、以下を検討しました。

  • カスタマー・ジャーニー・マップ
  • ビジネス・モデル・キャンパス(BMC)
  • ピクト図解

下図に、検討した内容の全体像を示します。

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カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップとは、顧客がサイトなどで商品やサービスを購入・使用するプロセスの各フェーズにおける、行動、思考、感情などを時系列に沿って視覚的に表現する方法です。

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匠Methodとカスタマージャーニーマップの連携

チームでは、匠Methodと一緒に使う場合、Howの手探りで使えるのではという話になりました。

Howの手探りとは、アイデアの実現手段を具体的にイメージすることで、描いた価値の実現性を検証することです。

匠Methodの価値分析モデルや価値デザインモデルでは、どちらかというと感性で価値を描きます。

R&D的な要素の大きいプロジェクトほど想像と現実が乖離してしまい、実現性が乏しくなりがちです。

カスタマージャーニーマップで、価値が実現される手段や利用シーンを具体的にイメージすることで、描いた価値が絵に描いた餅になるリスクを軽減することができます。

(参考)カスタマージャーニーマップの事例

参考までに、カスタマージャーニーマップを使っている事例として、書籍『コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則』を紹介します。

第2部「デジタル経済におけるマーケティングの新しいフレームワーク」第5章「新しいカスタマージャーニー」で、デジタルメディアで顧客が購入に到るまでのプロセス(5A:認知・訴求、調査、行動、推奨)や、ブランディング、KPIやデジタルメディアのカスタマージャーニーの類型化など、デジタルマーケティングのスキルを磨くのに役立つ理論が説明されています。

コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則

コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則

  • 作者: フィリップ・コトラー,ヘルマワン・カルタジャヤ,イワン・セティアワン,恩藏直人,藤井清美
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2017/08/21
  • メディア: 単行本
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ビジネス・モデル・キャンパス(BMC)

ビジネス・モデル・キャンパス(以下BMC)とは書籍『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書』で紹介された、ビジネスモデルを図式化するためのフレームワークです。

BMCは下図のように、9つのブロックから構成されます。

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それぞれのブロックについての説明は下図か、書籍『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書』を参照してください。

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ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

  • 作者: アレックス・オスターワルダー,イヴ・ピニュール,小山龍介
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2012/02/10
  • メディア: 大型本
  • 購入: 29人 クリック: 473回
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またBMCと併用する「バリュー・プロポジション・キャンバス(VPC)」は、顧客の仕事やペイン、ゲインをリストアップし、価値提案(Value Proposition)と対象顧客を導き出す方法論ですが、詳細な説明は今回は省略します。興味のある方は、以下の書籍を参照してください。

バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る

バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る

  • 作者: アレックス・オスターワルダー,イヴ・ピニュール,グレッグ・バーナーダ,アラン・スミス,関美和
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
  • 発売日: 2015/04/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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匠MethodとBMCの連携

チームでは、匠MethodとBMCを一緒に使う場合、以下の2点で連携できるのではないかという話になりました。

  • 匠Methodで描いたプロジェクトが、ビジネスとして成り立つかを検証する
  • BMC上でさらなるイノベーションを検討し、匠Methodのモデルにアイデアを反映する
# ビジネスとして成り立つかを検証

匠MethodのモデルからBMCの各ブロックに該当する内容を記載し、アイデアを検証します。

匠Methodでは、価値提案、パートナー、顧客セグメントは重点的に練られる傾向にあります。

主要活動、リソース、顧客との関係、チャネル、コスト構造、収入の流れを見直してみると良いでしょう*4

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# BMC上でさらなるイノベーションを検討し、匠Methodのモデルにアイデアを反映する

書籍『ビジネスモデル・ジェネレーション』では「イノベーションの震源地」といって、下図のように9つの各ブロックを起点として、イノベーションを起こす考え方を紹介しています。

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匠MethodのアイデアをBMCに落としこみ、「イノベーションの震源地」で得たアイデアを匠Methodのモデルに反映すると良いでしょう。

それぞれの詳しい内容は、書籍『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書』を参照してください。

イノベーションの震源地と類似する内容としては、書籍『ビジネスモデル・イノベーション ブレークスルーを起こすフレームワーク10』も参考になります。

利益モデル、ネットワーク、組織構造、プロセス、製品性能、製品システム、サービス、チャネル、ブランド、顧客エンゲージメントの10のタイプのイノベーションやその事例について説明されています。

ビジネスモデル・イノベーション ブレークスルーを起こすフレームワーク10

ビジネスモデル・イノベーション ブレークスルーを起こすフレームワーク10

  • 作者: ラリー・キーリー,ライアン・ピッケル,ブライアン・クイン,ヘレン・ウォルターズ,平野敦士カール,藤井清美
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
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ピクト図解

ピクト図解は、ビジネスモデルを見える化する手法です。

ビジネスを「モノとカネの交換」と割り切り、ビジネスの骨格を成す要素の3W1H(Who「誰が」、Whom「誰に」、What「何を」、How Much「いくらで」)を、簡単なシンボル記号(ピクトグラム)を用いて、関係性を描きます。

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詳細は、ピクト図解考案者板橋悟さんによるWeb記事や、以下の書籍を参照してください。

ビジネスモデルを見える化する ピクト図解

ビジネスモデルを見える化する ピクト図解

匠Methodとピクト図解の連携

チームでは、匠Methodとピクト図解を一緒に使う場合、以下の2点で連携できるのではないかという話になりました。

  • 価値交換の検証
  • ビジネス戦略の展開
# 価値交換の検証

ピクト図解では、製品・サービスとお金の交換を明示的に見える化します。

見える化することにより、提供する製品・サービスの価値がお金に交換されるキャッシュポイントを確認し、収益が上がるかどうかを検討しやすくなります。

# ビジネス戦略の展開

ピクト使いではタイムラインという概念があり、顧客をどのように拡げ、ビジネスをどのように展開していくかを見える化できます。

見える化することにより、ビジネスをどこにどのような順番で展開していくかというビジネス戦略を検討しやすくなります。

こだわるよりも融合する

今回、匠Methodと他の方法論について考えてみました。

チームでは、1つの方法論にこだわるよりも、融合して適材適所で使ったほうが、さまざまな視点が得られ、さらに発想が広がるという話になりました。

適材適所で「今回はこの方法でやってみよう」などとやってみるのが良いでしょう。

匠塾での気づき(各チーム)

各チームの振り返り発表や、懇親会でうまれたトピックをまとめておきます。

  • アイデアのもとをぶち込む力

    特に議論の序盤で話が膠着しているときに、チームの発想が広がったり、場が活性化する呼び水となる話を提供できる力。テーマに関連する事例などを伝えることにより、チームに事例への共感が生まれると、新しいアイデアが生まれ、話がスムーズに進むことがある。(事例→共感→アイデア)

  • 未来のステークホルダーと未来の価値を考える

    アイデアがいまいち新意識にシフトできないときは、価値分析モデルで、未来のステークホルダーと未来の価値を考えると、ジャンプした新しい発想が生まれることがある

  • 価値分析モデルの「目的」はアクセルとブレーキのバランスが必要

    たとえば、アクセルは「新機能開発」、ブレーキは「品質向上への取り組み」など

  • 価値分析モデルの「目的」(下心のレイヤー)は論理的である

  • 世の中の構造・流れには必ず弱点がある。完璧なものはない

 - 弱点があるところに匠Methodを使うと効果的 - 人間=進歩しない動物。必ず弱点がある。モノは進化しているが、人そのものは変化していない

  • 議論対象のドメインから視点を上げていくと、新しい発想が得られることがある

    例:働くとは何か(今回のテーマ)→人類とは何か。宇宙にまで行くこともあるらしい

  • 価値の演出。わくわく感を演出する。

  • 未来の価値は恣意的なもの。現在の価値は、誰かが恣意的にイメージしたもの

最後に

ビジネスの方法論は、世の中にさまざま存在します。

匠Method開発者の萩本順三さんは「他の方法論は見ない(ちら見程度)」とおっしゃってますが、それは自分の方法論やメソッドをつくりだすときの話です。

他の方法論に触れることにより、自分自身の感覚が研ぎ澄まされず、ありふれたものになってしまうことがあるからです。

基本的には、書籍などで多くの知識にふれ、さまざまな方法論を知識として身につけることで、以下のようなメリットが得られます。

  • ものごとを捉える「視点」を、複数得ることができる
  • 複数学ぶことにより、多角的な視点でものごとを見られるようになる
  • 結果、ものごとをみるための引き出しが増える

しかし一方で、方法論ばかり議論し、実践しないと「学問のための知識」になり、いざという時に役立ちません。

実践することで学んだことは「行動のための知識」になります。

さらに知識に経験が加わることによって、「一般的な知識」はその人の「センス」に変化します。

そういった意味で、匠塾は匠Methodの実践を気軽に疑似体験できる絶好の場です。

実践の場でいきなり匠Methodを使う前に、匠塾に何回か参加することをおすすめします。

※匠塾は招待制の勉強会です。匠Methodに興味があり、匠塾に参加してみたい人は、にFBメッセージでお声がけください。

匠Methodについて書かれた書籍はこちら

匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜

匠Method: 〜新たな価値観でプロジェクトをデザインするために〜

ビジネス・モデル・キャンパス(BMC)について書かれた書籍はこちら

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書

  • 作者: アレックス・オスターワルダー,イヴ・ピニュール,小山龍介
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バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る

バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る

  • 作者: アレックス・オスターワルダー,イヴ・ピニュール,グレッグ・バーナーダ,アラン・スミス,関美和
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  • 発売日: 2015/04/17
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ピクト図解について書かれた書籍はこちら

ビジネスモデルを見える化する ピクト図解

ビジネスモデルを見える化する ピクト図解

「記事トレ!」日経新聞で鍛えるビジュアル思考力

「記事トレ!」日経新聞で鍛えるビジュアル思考力

*1:毎月開催されている招待制の匠メソッドを学ぶ会です。株式会社アクティアCOO 高崎健太郎さんを塾長とする有志によって開催されています

*2:会場はNTTコムウェアさん(品川)でした。

*3:固定的にテーマを構えるのではなく、議論したいテーマを自由に見つけて、それに応じて態を変えるという意味で「ヘンタイ」。異常という意味の「変態」ではない

*4:これらの6つが匠Methodで検討されないということではありません

広島東洋カープ、2017年セリーグ優勝おめでとうございます

広島東洋カープ(以下、広島)が9月18日にセリーグ優勝を決めました。

2016年セリーグ優勝に続いての連覇です。

圧倒的な戦力と言われているソフトバンクホークスも2015年の優勝の翌年は2位に終わり連覇の難しさを物語っています。

広島の連覇は、私の想像を超えていたので、暗黒時代から優勝・連覇までの道のりをまとめておきます*1

16年にわたった暗黒期

広島の暗黒期のきっかけは、1993年オフに日本球界に導入されたフリーエージェント(FA)制度です。

広島はお金も無いので、FAで選手を獲得することはせず、育てる道を選びます。

1996年は春から首位を独走。2位の巨人に最大11.5ゲーム差をつけます。

しかし、巨人に逆転優勝*2を許し、1997年の3位を最後に2012年までBクラス。暗黒時代に突入します。

FAでは、2000年に江藤智選手が巨人に、2003年に金本知憲選手が阪神に、2008年には黒田博樹投手がメジャーリーグに、新井貴浩選手が阪神に移籍するなど、せっかく育てた選手も流出しチームは弱体化していきました。

赤ヘル復活への道のり

暗黒時代から優勝への道は、2010年野村謙二郎監督の就任から始まったと言ってよいでしょう。

野村謙二郎監督が退任後に著した書籍「変わるしかなかった。」では、2010年就任時のチームの様子を以下のように書いています。

質の高いチームは約束事が徹底されている。僕が就任した時のカープはそれがないも同然だった。「なんでこんなチームになってしまったんだろう・・・」

ベースカバーもできない、連携プレーができない、サインプレーができないという状況だったようです。

そして開幕から7連敗。チームも5位に終わり、新人監督の洗礼を浴びました。

ちなみに2010年のセリーグ優勝チームは中日ドラゴンズです。

2013年 赤い旋風

野村謙二郎監督が試行錯誤、四苦八苦しながら、迎えた2013年。

9月には、長年苦手意識を持っていたこの年優勝の巨人に3連勝。

17年ぶりの3位。Aクラスで、初のクライマックシリーズ(CS)進出を果たし「赤い旋風」を起こします。

特に阪神とのCS初戦で、代打攻勢で藤浪晋太郎投手を攻略した鮮やかな逆転劇は、今でも印象に残っています。

この年に、鈴木誠也が高卒ルーキーで入団しています*3

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2013年、中日は、パ・リーグもあわせて11球団に負け越すなど4位に終わり、2001年の5位以来12年ぶりのBクラス。広島と入れ替わりに暗黒期に突入していきます。

2014年 大竹寛のFA移籍

「赤い旋風」で、優勝への機運が高まる中、ローテーションの一角を担っていた大竹寛投手が(2012年11勝、2013年10勝)2014年シーズンにFAで巨人に移籍します。

10勝投手が同リーグ他球団に移籍するということは、単純にいうと20勝の差がつくいうことです。

巨人は2012、2013年と優勝し戦力も充実していたので「なにも大竹を獲ることないだろう。。」と憤りを感じたのを憶えています*4

2014年はシーズン開始から首位を快走するものの失速し、3位に終わります*5

2014年、中日は谷繁元信選手が兼任監督で就任しましたが、8月に20敗するなど大きく失速し4位。2年連続Bクラスに終わりました。

2015年 黒田博樹と新井貴浩の復帰

2015年にはメジャーリーグから黒田博樹投手が復帰し話題を集めました。

また、阪神で数年くすぶっていた新井貴浩も復帰。前田健太も全盛期を迎え、広島を優勝候補にあげる解説者も増えました。しかしチームは4位に終わります。

2015年中日は福田永将の活躍で開幕10試合目時点で首位に立つも、その後失速し5位に終わります。秋には山本昌、谷繁元信、和田一浩、小笠原道大、川上憲伸、朝倉健太が戦力外や引退でチームを去り、2016年からチームの若返りが始まります。

2016年 前田健太のFA移籍

2015年は、優勝の機運が高まったところでのBクラス。

さらに2016年、エースの前田健太投手(前年15勝8敗)がメジャーリーグに移籍してしまいます。

「広島が優勝することはなかったか。。」

私はそう思っていました。

2016年、25年ぶりの優勝

2016年は中日から移籍したルナが4番サードという苦しい布陣でスタート*6

4月には新井貴浩が2000本安打を達成。「努力の人」の記録達成にチームの勢いもつきました。

交流戦も乗り切り、2位巨人に17.5ゲーム差のぶっちぎりの優勝。

投手陣も野村祐輔投手が16勝3敗の成績を残し、前田健太投手の穴を埋めました。

絶対的エースが抜けた次のシーズンでの優勝。

エースが抜けても次のエースが出てくる。そのようなチームは強いですね。

中日は2016年から谷繁監督が専任監督に就任。新外国人ビシエドの活躍で、5月に首位に立つもその後大きく失速。谷繁監督も夏に解任。その後森繁和監督代行が采配を振るいましたが、ナゴヤドーム元年の1997年以来20年ぶりの最下位に沈みます。

2017年 連覇

2016年オフには、優勝を花道に黒田博樹投手が引退(2015年11勝、2016年10勝)。

若手が育っているとはいえ、10勝投手が抜けるのは苦しい」と私は思っていました。

ところが、若い投手陣が一気に一人立ち。

9月20日現在、薮田和樹投手が、14勝3敗(2016年は3勝1敗)、岡田明丈投手が12勝5敗(2016年は4勝3敗)と好成績を上げています。

また、大瀬良大地投手が9勝2敗と先発投手として、シーズン途中まで7連勝と復活します。

大瀬良投手は2014年に10勝で新人王を獲得したあと、2015年3勝、2016年3勝と思うような成績をあげられずにいました。

苦しい時期を過ごしましたが、今年は黒田投手に代わり投手陣の精神的支柱になったのではないでしょうか。

2017年、中日は5位確定。球団ワーストの5年連続Bクラスです。

黄金時代の息吹

タナキクマル(田中広輔、菊池涼介、丸佳浩)とよばれる同年代のセンターライン三銃士*7。それぞれが球界を代表するレベルの選手になり、チームを引っ張っています。

書籍、根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男は、伝説のGMといわれている根本陸夫氏が、広島、西武、ソフトバンクの黄金時代をつくった軌跡が描かれた書籍です。

根本陸夫氏が広島の監督時代、実績ある山内一弘を若手の模範として移籍させました。そして20代前半の若手の山本浩二、衣笠祥雄、水谷実雄らに「君たちが山内を追い越さないとチームは強くならない」とハッパをかけて競わせたそうです。

この逸話は、黒田博樹、新井貴浩の姿が山内一弘に、水谷実雄、山本浩二、衣笠祥雄の姿が、田中広輔、菊池涼介、丸佳浩にだぶって見えてきます。

根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男

根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男

おすすめ書籍

2010年から2016年優勝までの7年間の道のりを追いたい人は、書籍「変わるしかなかった。(野村謙二郎著)」、「撓まず 屈せず 挫折を力に変える方程式(新井貴浩著)」の2冊を読むとよいでしょう。

# 変わるしかなかった。

変わるしかなかった。

変わるしかなかった。

野村謙二郎元監督が退任時に書いた書籍。就任期間(2010年〜2014)の各シーズンを回顧しています。

# 撓まず 屈せず 挫折を力に変える方程式

撓まず 屈せず 挫折を力に変える方程式

撓まず 屈せず 挫折を力に変える方程式

新井さん視点で2015・2016年シーズン、広島球団への愛などが語られています。

# 赤ヘル1975

赤ヘル1975 (講談社文庫)

赤ヘル1975 (講談社文庫)

第一期黄金時代を迎える前の、1975年(昭和50年)広島初優勝時のノスタルジーを感じたい人におすすめの小説です。

最後に

暗黒時代の中、長年応援を続けてこられた広島ファンの方々、おめでとうございます。

苦しいときにこそ、応援し続けるのが本当のファンですね。

*1:まとめることによる野球記憶強化も狙いの一つです。

*2:かの有名なメークドラマです

*3:鈴木誠也のプロ初ヒットは上記の巨人3連戦にて

*4:この憤りを感じたのは、2008年にヤクルトから前年最多勝(16勝)のグライシンガーと、最多安打、打点王のラミレスを獲得した時以来です。

*5:クライマックスリーズでは、前田健太が福留孝介にバックスクリーンに本塁打を浴び、撃沈。個人的にはこの本塁打で得た感触が福留孝介の復活のきっかけになったと私は思っています。この動画です。

*6:ルナはこの年の4月に、三塁手で1試合4つ失策ということもありました

*7:2015年に中日で結成された「3D(ドミニカン)」ルナ、エルナンデス、ナニータの三銃士は2年経ったいま跡形もありません

技術者の自分が11年間会社を経営して学んだ7つのこと:ビープラウド佐藤治夫〜BPStudy#120 その2

BPStudy#120の第2部は、主催の私が担当させていただきました*1

会社としては道半ばですが、11年と少しの会社経営の中で起きたエピソードと、そこから学んだことをテーマにしました。

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資料は以下です。

11年間を振り返ると、会社の大きな節目は3つありました。

節目その1:Pythonの採用

会社をつくってから2年弱の2008年4月に、会社のメインプログラミング言語にPythonを採用しました。

そのあと実績とノウハウを積み、2012年には実務でのノウハウをまとめた「Pythonプロフェッショナルプログラミング」を上梓するなど*2、Pythonistaが集まる会社として、ブランディングされていきました*3

Pythonプロフェッショナルプログラミング 第2版

Pythonプロフェッショナルプログラミング 第2版

日経ソフトウェアの2014年2月号には「技術のある企業に優秀な技術者が集まる」という特集で、Pythonという核になる技術を持っている企業として紹介されました。

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そのようにPythonの活動を会社として続けていく中で、国際的カンファレンスのPyCon JP 2015では、私が基調講演を担当させていただきました。

shacho.beproud.jp

その流れで、Developers Summit 2016で、コミュニティをテーマに登壇させていただきました。

shacho.beproud.jp

その後ありがたいことに、Developers Summit 2017Developers Summit 2017 Summerにも登壇させていただいています。

このように、Pythonを採用したのをきっかけに会社は大きく変化し、動いていきました。

そして、さまざまなタイプの人が入社してくる中で、私は以下のことを学びました。

今までの考え方や方法から、はみ出す人が現れたときが組織の器が広がるチャンス。違う考えを排除するのではなく「どうしたら融合できるか?」と考える

また、Pythonistaを中心に人を採用していくという活動の中でどのようなときにリスクを取り、思い切った行動をするべきかという経営者として大事な感覚を学びました。

節目その2:製品開発と匠Method

スライドにもあるように、ビープラウドでは自社製品の開発に7回トライして、そのうち5回は失敗に終わっています。

そのような中で、私は匠Methodを2012年から学び始め、コタツモデルという考え方を学びました。コタツモデルとは、経営者、業務担当者、IT担当者がコタツに入るように、ひざをつきあわせ、プロジェクトを進めていくスタイルです。

私は「任せる」という考えのもとに、会社メンバーに製品開発を託していましたが、匠Methodを学ぶ中で経営者として「コタツに入っていなかった」と気づいたのです。

つまり、それまでの製品開発の失敗の原因は経営者である私自身にあったのです。

そこに気がついた私は、2013年の後半からは、connpassチームにがっつりと入り、PyQチームにも朝会に毎日参加し議論するなど、経営者としてコタツに入り続けることを意識しています。

そしてその活動の中で、経営者が自ら現場に入って取り組む大事さを学び、メンバーが想像した未来の姿を実現に導いていくことが、自分のリーダーとしての役割であることに気づきました。

節目その3:BPカイゼン

会社の人数が30人を超えてくると会社の問題が顕在化し、2012年にはデスマーチが2回ありました。

特に2012年後半の2回目のデスマーチは、数カ月間収束せず、大きな痛みを伴いました。

私もデスマーチを収束すべく、朝9時〜夜3時まで仕事をし、翌日9時からまた仕事をするということを続けていくうちに、体力と精神を摩耗していきました。

チームの雰囲気もギスギスとしていて、私自身もその場に踏みとどまることが精一杯の状態。経営者として会社全体を見るどころではなくなっていました。

そのような中で、会社メンバーが「こんなことではいけない」と立ち上げてくれたのが、BPカイゼンです。BPカイゼンとは、会社で改善するべきことをredmineに課題として上げ、あるべき姿を考え、改善していくというボトムアップの取り組みです。

この取組みのおかげで会社の悪いところが少しずつ改善されていき、2017年までに目立つ改善点がなくなりました。

私は、ボトムアップの大事さと効果、主体的に仕事や組織に取り組んでる人のありがたさを学びました。

現在では、会社を将来に向けてどのような方向に変化させていくかという大きなビジョンをこのBPカイゼンで話し合っています。

これから先やっていきたいこと

ビープラウドのサイトのトップにミッションとして以下を掲げています。

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知識、技術、創造力、チーム力を日々研鑽する。そのスキルを活用し、アイデアをカタチにし、価値を創り出す。

そのように仕事ができることで、会社メンバーがやりがいを感じながら仕事ができる環境をつくっていきたいです。

エンジニアが価値を創り出していくことについてはBPStudy#97で発表した以下のスライドにまとめています。

その他、これまでの経緯など

会社をつくるまでや、つくってからの経緯については、いくつかのメディアに掲載いただいたり、自分で勉強会で発表していますので、宜しければご覧ください。

2013年9月 連載:エンジニアの幸せな職場第1回

type.jp

2016年7月4日付 情報産業新聞 「この人を訪ねて」

www.facebook.com

2017年4月 日経ITPro 「越境エンジニア列伝」

itpro.nikkeibp.co.jp

itpro.nikkeibp.co.jp

itpro.nikkeibp.co.jp

2011年12月16日のBPStudy#52 エンジニアの自分が会社をつくって5年間で起こったこと、学んだこと

2012年9月28日のBPStudy#61 私の履歴書(ヤング時代)

最後に

11年間というと長いようですが、あっという間の11年間でした。

時間の流れが速く感じていると、1年1年が惰性で流れてしまうことになりかねません。

そのときそのときを充実させ、大きな価値を生み出せるようこれからも進んでいきますのでよろしくお願いします。

*1:2007年9月に第1回を開催し、毎月1回のペースで開催してきていますので、丸10年の節目となる開催でした

*2:2012年に第一版、2015年に第二版を上梓しました

*3:ブランディングしたというより、ブランディングされたという感覚です

受託の会社が調達せずに自社サービスを立ち上げ事業として成立するまでの企画・開発・サポート・マーケティング:ヴェルク田向さん〜BPStudy#120 その1

2017年8月31日にBPStudy#120が開催されました。

2007年9月に第1回を開催し、毎月1回のペースで開催してきていますので、丸10年の節目となる開催です。

第1部は株式会社ヴェルク代表取締役社長の田向さんに発表頂きました。

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ヴェルクさんは、受託開発とサービス開発を両立していて、サービスとしてはboardという、請求書や見積書などの書類作成、受発注、請求・入金などの業務管理、売上やキャッシュフロー予測などの経営分析のためのクラウドサービスを運営しています。

the-board.jp

boardはリリース3年で有料の顧客が900社を超え、順調にサービスが伸ばしているということもあり、そのノウハウをお話いただきたいと思い、お声がけしました。

boardはビープラウドも3年前からboardを使わせていただき、ユーザー事例も掲載いただいています。

the-board.jp

田向さんの発表資料は以下です。(はてなブックマークが2017年9月16時点で883!

あらためて資料を拝見し、私に刺さったポイントをまとめてみました。

事業戦略

  • いろいろ方法があるなかで、重要なのは、やり方ではなくどうやるか
  • リソースは限られているので、やることは本当に重要なもの、自分たちが強いものに絞る
  • 知名度が無いので、圧倒的なサポートで差別化。お試しした人に続けて使ってもらう
  • サービス成長が遅いと事業継続が厳しいのでは?→受託事業があり、外からのプレッシャーがないので収益化を急ぐ必要はなかった(当初は売上の座布団になれば良い程度で考えていた)
  • 他のサービスと比べて「明らかに良い」ではないと売れない。多くの人は「ちょっと良い」程度だと有名な方を選ぶ
  • 月額、980〜5980円なので、訪問したら赤字。依頼があってもお断りしている。来社、Google Hangoutなどリモートでの面談はやっている。個別相談会でフォロー
  • 開発ロードマップは好評。ユーザーとの信頼を構築する方法の一つ
  • 力を入れない、後回しにするとした分野はゼロではなく、少しずつ地道な活動をして経験値を貯めておく

企画

  • 限られたリソースの中ではドッグフーティングできる分野を選択することは重要
  • 競合を参考にしていては差別化できない
  • スモールスタートというが、スモールすぎると前に進まない。バランスは重要
  • 自分が素人の分野に時間をかけるのはリスク
  • 売れないものをコストをかけてつくってしまうリスクを下げるため、社内用α版(自社の業務がまわるか)、クローズドβ(知り合いを中心に外部に使ってもらう)、パブリックβ(十分な完成度)と進めた
  • 無駄なものをつくらないために、競合は見ない。つくる機能を吟味する。あったらいいねレベルはつくれない
  • ユーザーの声は改善の源泉だが、大きな声に左右されない軸は必要

開発

  • 独自UIの実装は時間が掛かるので頑張らない(まずはbootstrap、JQueryの世界で)
  • 時間をかけるのは、業務フィット感やユーザ視点での完成度
  • 多機能ではなく完成度を高める
  • 自動テストは事業成立がわからない段階では力を入れない。事業として成立したら、安定した継続開発のために力を入れる
  • 初期の頃は機能実装が優先で、3年目くらいからリファクタリングなどの改善に時間を割けるようになった
  • セキュリティは専門ではないので、お金で解決。WAF=Scutum、IDS・IPS=DeepSecurity、セキュリティテスト=VAddy
  • 他のメンバーが開発に入った時、同じ完成度でリリースするためには、開発スケジュールは倍は想定する。時間がかかることが問題ではなく、想定しておくことが重要

サポート

  • 開発者がサポートに関わるのはつらいこともあるがおすすめ。使いにくい機能をつくらないようになる、肌で優先度の強弱を感じられる、30分で実装ができることで問合せが減るような改善に気づけるなどのメリットがある
  • 問い合わせ対応はintercomを使ったチャットサポートのみ。メールが来てもチャットに誘導している
  • サポートは即レスで一発で正しい回答が重要。それしかない。
  • ヘルプを充実して、簡単に説明後、ヘルプへ誘導している(効率向上、自分で調べてくれるようになる)。ヘルプが不十分な場合は、その場で追記して回答、その場で改善する。
  • チャットだからといって、五月雨式にメッセージを送らない(ユーザーも問合せ後、他の業務に移っていることがほとんど)

PR・マーケティング

  • サービス名のユニークさ重要。「board」という名前で当初はSEOで苦労した。「請求書」というキーワードでも差別化しにくい
  • メディア露出がうまくいかない場合、事例インタビュー、ブログなど地道な活動で知ってもらう
  • サービスを使いたくて登録した会員に、メルマガは送りたくない。メルマガの手間を開発にあてたい
  • 過度な表現はしない。ギャップにがっかりさせることになり逆効果。信頼感を落とす
  • 初期ユーザーの獲得。開発中からTwitterでつぶやいて身の回りの人に、何か作っていると知ってもらう

感想

田向さんは「自分たちは、資金調達をしメディア露出も採用もうまくできているスタートアップとは違うので、自分たちのやり方を選んだ」とおっしゃってますが、スタートアップでも大企業でも、本来リソースは有限です。

たとえ資金が潤沢でメディア露出や採用がうまくいっている企業でも、その上にあぐらをかき、戦略を研ぎ澄ませずにムダな動きをしていては、数年で淘汰されるでしょう。

自分たちを見つめ自社にあったかたちで、地に足をつけて着実に事業を伸ばしていくスタンスは、多くの企業に参考になるでしょう。

田向さん、ありがとうございました!